「正直、今年の優勝候補はジャイアンツじゃないかと思うのよね」
「でも、去年は4位だったよね。世代交代もうまくいっていないって聞くし、どうして?」
開幕前、例年通りに順位予想を行おうとする結乃は、順位を考える前にまず各球団の今年の戦力を検討する。その中で真っ先に上がってきたのは、3連覇を狙うカープではなくてジャイアンツだった。
「いや、普通に考えて戦力が揃っているじゃない」
主軸として坂本、ゲレーロ、マギーのいるクリーンナップに、脇を固める陽、長野といったところも実績はある。ここにオープン戦でとうとう覚醒を予感させる大砲、岡本。吉川らの若手もいる中、亀井や阿部といったベテラン陣も健在、なんだかんだいって怖い打線なのである。
特にゲレーロは東京ドームなので打ちまくりそうである。
「強いて言うなら、打線では主力に良い左打者が少ないことね」
阿部や亀井は通年での出場はないだろう。
「それに昨年の成績を見れば、カープを除く他の4球団には勝ち越しているのよ」
「えっ、そうなの? それで4位って」
「カープと交流戦でボロ負けしているってだけ。まあ、交流戦で低迷すると厳しいのは身をもって分かっているけれどね」
そうなのである。
ジャイアンツはカープを除くセの4球団には対戦成績で勝ち越している。交流戦もさすがに今年は十何連敗もしないだろうし、カープとの勝敗さえ縮めれば優勝候補筆頭とみなしてもおかしくはない。
「鍵を握るのは先発投手の4枚目、5枚目よね。菅野、田口と強力な左右2枚看板に、今年はドスコイもいる。マイコラスが抜けたとはいえ、気が抜けない」
復活を期す吉川、怪我で出遅れとはいえ昨年全く打てなかった畠、そしてベイスターズが苦手とする大竹と、名前はすらすらと出てくるのだ。
「上原が復帰することによる投手陣、救援陣への好影響もありそうだし」
上原、澤村、マシソン、カミネロと、右腕ばかり並ぶとはいえなんだかんだと整ってきたリリーフ陣。
「ラミちゃんは阪神に対抗意欲を燃やしているけれど、昨年の成績を見ればジャイアンツに一番負け越しているのよ(9-15)、特に菅野、田口、マイコラス、畠と、先発投手陣に手も足も出なかった。どうにかしないと、今年も同じになっちゃうわよ」
「どうにかって、どうするの?」
「正直、悩ましいのよ。ただマイコラスがいないし、畠も前半はいないだろうから、他の先発投手の時に勝ちにいくしかないわ」
「随分と弱気だね」
「良い投手なそうそう打てるわけないのよ、でもジャイアンツが強いほど、その強いジャイアンツを倒して優勝したい、という気で燃えるわよね!」
と、評価の高いジャイアンツ。
あとは監督、コーチの手腕の見せ所か。
2017年はBクラスに沈んで初めてCSに出場できなかった悔しさもあるだろう、最大限の注意を払って戦う必要がある。
そう、考えるのであった。