開幕3連戦を終えて:ベイスターズ打撃陣を考える
開幕3連戦が終了した。結果は1勝2敗、これをどう考えるか。
昨年、ぶっちぎりの最下位に終わり、対戦成績でも圧倒したヤクルトが相手である、最低でも2勝1敗の勝ち越しを考えていたファンもいるかとは思うが、正直な話、1勝できて御の字だったととらえる。
何せベイスターズは開幕から今永、ウィーランド、濱口という先発3本柱を欠いて、石田、バリオス、京山の3人で立ち向かう。一方でヤクルトは勝ち星に恵まれなかったとはいえ昨年も好投していたブキャナン、苦手にしている石川、そして復帰にかける由規という3本である。先発投手でも分が良いとはいえないのに、ヤクルト打線も川端が復活、青木が復帰と昨年と明らかに異なり爆発力を有している。
3連敗しなくて良かったと考えるべきであろう。
「それにしても、投手陣はある程度わかっていたけれど、打線もイマイチよね」
渋い表情を見せる結乃。
「確かに打線爆発はしていなけれど、そんなに悪い状況?」
と、尋ねるのは理衣。試合がない日のため、3連戦を二人で振り返っているのだ。
「好調なのは倉本かしら。宮崎は流してのHRに引っ張ってのヒットと、青木の好守備に阻まれた打球もあったし、調子は普通だと思うけど、他の主力がイマイチよね。筒香はまだよくわからないわ」
「桑原選手、大和選手もいきなり打順変えられちゃったしね」
「てっきり桑原は7番かと思っていたらまさかの2番だものね。まあ、意図は分からなくもない気はするけれど」
7番だと好きに打つしかないが、今の桑原の状態だと好きに打っても何も変わらない気がする。それよりは2番としてバントやエンドラン、スチールの援護など、強制的に制限をかけた方が考えずに済むのかもしれない。成功すればチームのためになるし、ヒットが出なくてもチーム方針に沿っているのだからと言える。
一方で大和である。
大和が活きるのはやはり2番だろう。打力に劣る大和の場合、ランナーがいてこそ働くことが出来るはず。ランナーがいない、あるいは自由に打つしかない状況では純粋に投手vs大和となり、打力の無い大和だと負ける(=凡打)可能性が高い。
「それでも桑原2番、大和を7番ってことは、桑原の復活に重きを置いたってことなんでしょうね」
顎に手をあてて唸るように言う結乃。
開幕3試合であるし、まだ様子を見るとは思うが、大和も安泰ということではないのだろう。もちろんそれは桑原も同じで、特に外野の方は楠本、佐野、乙坂と競う相手も多い。
「あとはロペスだけど、ロペスは実績もあるし、一昨年も不調から復活したし、待つしかないわね」
「代わりの選手がいるわけでもないしね」
「神里もいつまで頑張れるか分からないし、不調者の復調と梶谷が復帰するまでは打線も辛抱かしら」
ただ、神里が耐えられれば、希望は見える。梶谷は昨年などもそうだが、出始めた時は調子が良いことが多く、体重が減るにつれて調子が落ちていく。神里が例えば5月いっぱいもてば、梶谷が万全になっているならシーズン終了までいけるかもしれない。もちろん、神里がシーズン終了まで活躍出来ればそれも良いが、ルーキーにそこまで求めるのは酷だろう。
もちろん桑原の復調が必要条件であるが、駄目なら他の選手で凌いでいくしかないが、守備力を考えても桑原には踏ん張って盛り返してほしい。
「あとは戸柱ね。嶺井と併用でしょうから今後もスタメンマスク被るでしょう。その時に、開幕戦のような打撃じゃあ、安パイすぎるからどうにかしてもらわないと。去年の交流戦ほどとは言わないけれど」
「確かに、そこで打線が切れちゃうと下位打線がちょっとね・・・・」
「また、3試合でタイムリーは3本だっけ? つながりがね。でも、打線の調子がイマイチでも毎試合3点は取って1勝できた。打線は上がり目があるだけだと思うから、今は耐え時よ」
「こういうとき、石川さんとかいたら」
「まだ早い! キャップもきっと上がって来てもらう時があるはずだけど、それは今じゃないはずよ!」
クリーンナップには期待できる。脇を固める選手たちがどれだけ打つことが出来るか、それが大事だ。
彼らがどれだけ力を発揮できるか、この先も注意して見ていきたいと考える結乃なのであった。