度重なる誤算!
後半戦の展望で思い描いていた図は、オールスター明けの最初の週で脆くも崩れ去ってしまった。
酷暑の続く中で体力も気力も奪われていくのに、ここにきてさらに追い打ちをかけるような状況である。
アスファルトの熱で景色に靄がかかるように、ペナントレースのこの先も朧なものでぼやけている。
「やっぱり、昨年のシーズンで調子に乗ったのかしら?」
結乃は呟く。
悔しさを糧に強くなれると思っていたが、そうではなかったのか。
「それにしても、東、ウィーランド、井納、今永、濱口、石田の6枚で後半戦は回せるから良くなると思ったのに」
そう言った後に肩を落とす結乃。
「東投手は怪我、石田投手は不調で抹消、今永投手もKO、だもんね」
「東はまあ、肩や肘じゃないから、1回飛ばしくらいで戻って来られるんじゃないかとは思うけれど」
その飛ばす肝心の1回がカープ戦なのである。
「ローテは誰を入れるのかしらね? 誰にしても弱くなるけど、今の石田、今永よりはマシかしらね?」
候補は飯塚、平良あたりか。あるいは熊原はどうなのか。
とりあえず今永は抹消せずにもう一度投げるみたいではあるが。
「打線はどうかな?」
「ソトをセカンドにしたのは1試合だけ、その試合も今永炎上したし、まだ評価は出来ないかしらね」
「内野守備が怖いね」
「まあ、そこは目をつぶっての攻撃力重視だからね。ただ、ショート倉本は・・・・」
「あう」
阪神戦でもやらかしていたし、見る目が厳しくなってしまう。
「正直、ソト、伊藤でセカンドと捕手の弱点がある程度埋まるなら、ショートは守備重視でも良いと思うのよね」
具体的には大和、怪我が治るまでは柴田。
「そして梶谷は打線の上位にもってくる。攻撃的2番じゃないのかしら?」
もちろん、ラミレスにはラミレスの考えがあるのだろうが。
「まあ、カープが負けないから、直接対決で大きく勝ち越さない限りは厳しい状況よね」
「ただ、その直接対決がまだ多く残っているんだよね」
「そうね、カープと最も対決を残しているのが横浜で、残り15試合。でも、10-5でも5ゲームしか縮められないのか」
「その数字もかなり大変だけどね」
「それでも、それくらい目指さないと。カープが巨人に7/24時点で12-4だから、いけなくはない!」
「うーん、それを根拠にするのもどうかと・・・・」
とはいえ、目指すのはそういったところだ。
しかもその上で横浜が他チームに勝ち、カープが負けないといけない。
「まずはこの週末、マツダで3連勝! 横浜スタジアムじゃないからいけるでしょ!」
「その前にナゴヤで中日に勝たないと・・・」
「井納、濱口、ウィーランド、もはや週末ローテよりこっちが表ローテだし、ここも3タテでいきましょう。横浜スタジアムじゃないからいけるでしょ!」
「またそれ?」