2018年8月17日(金) vs 広島カープ
結果:横浜7-5広島
敢闘選手賞:三嶋、筒香
「真夏の夜のカープ戦は3連発!!」
「うそん・・・・」
テレビの前、呆然とした表情の理衣。
拳を振り上げて喜んでいる結乃も、どこか夢でも見ているような錯覚に襲われている。
「はーっ、こんなこともあるもんね」
結乃の言う通りです。
2017年、8月22日。
ジャイアンツに3タテをくらい、3位もあやういのではと思われたベイスターズ。
息を吹き返したのはカープとの横浜スタジアム3連戦、3連発でのサヨナラ勝ちから3夜連続サヨナラ勝利。
夢よ、もう一度。
そう願うファンは多かったろうが、2018年のベイスターズの体たらくから期待は儚いものと思われた。
ところが、である。
「奇しくも相手は同じノムスケ。そして筒香。投手が一岡に代わっていたとはいえ、逆転満塁HR!」
「初球をガツンと、さすが四番だね!」
「まー、今ままで四番らしい活躍もできていなかったから、これくらいやってくれないとね」
とにかく今シーズンは好機でなかなか打ってくれない印象の強い筒香。
満塁、カウントを悪くしたくない投手心理もあったのかもしれないが、初球からフルスイングした。
打球は低かったが、横浜スタジアムだからこそのHRだろう。
また、筒香が得意とする真ん中低めに来てくれたのも大きかった。
「逆転したとはいえ、今の康晃の状態では1点差じゃリードしているとは言えないわ。事実、9回表に一発くらってるしね」
「でも、筒香選手だけで終わらない、宮崎選手、ソト選手がなんと連続ホームラン!」
「サヨナラじゃないけど、本当に2017年の3連発を思い出したわよね、みんな」
「凄かったねー」
「本当にわけのわからんチームよね」
苦笑いする結乃。あれだけベンチの雰囲気も良くなさそうで、首位広島にリードされて勝てるとも思えないのに勝ってしまうのだから。
「その勝ちを引き出したのは三嶋じゃないかしら? 好リリーフで8回をぴしゃり。流れを変えたんじゃないかしら」
「これで6勝目、チーム2位だよ」
「いや、それも情けないけどね。先発が全然勝てていないから」
だが三嶋の6勝は決して棚ぼたではない。きちんと抑えてくれているからこそ、勝利という形のプレゼントが舞い込んできたのである。
「東投手も、7回まで踏ん張ってくれたしね」
「そうね、4失点したとはいえ良く投げてくれたわ。勝ちがつかなかったけれど、11奪三振は大したものね」
またも8勝目は手に入れられなかったが、ローテが変わって相手チームのエース達とぶつかっているのだ。
腐らずに今後も投げて欲しい。
「さて、勝ったから良いものの、今日の先発オーダーは何だったのかしら」
「あぁ・・・・1番センター大和選手?」
「大和、柴田、倉本と、打力に疑問の3人を同時起用って。あたしゃ目を疑ったわよ」
ここにきてラミレス、来季を見越して色々試しているのではないかと邪推したくなるスタメンであった。
「まあ大和も柴田も2安打しているけど・・・・桑原を出さないってどうかと思ったわよ」
「うぅ、桑原選手、腐らないでほしいね」
いくら8月、打撃が絶不調とはいえ、荒波や大和に変えるほどなのかと思ってしまう。
「多分、スタメンオーダー見た時文句を言った人も多いでしょうけど、勝ったから手の平クルーでしょう」
と、自ら手の平を返して見せる結乃。
「それはいいんだけど」
「いいんだ・・・・」
「また二戦目に打順やスタメンころころ変えそうで怖いわー」
ラミレスならやりそうである。いや、やるに違いない。
「とにかく、せっかく勝ったんだから勢いつけて2戦目も勝ちたいけれど、今年は勢いがついたためしないからね!」
2週前も初戦にサヨナラ勝ちしたが、連敗して負け越した。
「気勢がそがれるね・・・・」
「事実だから。でも、昨年と同じく2戦目は大瀬良! 今回も叩いてやりましょうぞ!」
「今度こそ、勢いつけよう! ここから上位に!」
「問題は先発の濱口だけどね。何せこの前のカープ戦では押し出し祭り・・・・」
「うわぁ、球場生観戦での悪夢が!」
頭を抱えて悪夢に表情を歪める理衣。
「その悔しさを、不甲斐なさを、この試合にぶつけるのよ!」
「ここで勝つことが出来たら、勢いも出て3連勝なんてこともあるかも!?」
「もちろんよ! あたしは諦めが悪いんだからね!」