2018年振り返り #7 生き残れ暗黒戦士 石川 雄洋
「みんな大好き、石川 雄洋!」
「よっ、元キャプテン!」
結乃と理衣が持ちあげる。
以前は、石川といえば叩かれる選手の代表のような感じだったのが、今ではそうでもなくなっている。
それだけ時が流れたということか。
本当なら、もっと試合に出場して叩かれるくらいになって欲しいところだが。
#7 石川 雄洋
出場試合 : 41
打数 : 74
打率 :.230
安打数 : 17
HR : 0
打点 : 7
盗塁 : 5
「うーん、年々、出場試合数が減っているね」
心配そうな理衣。
「若手がどんどん出てきているからねぇ」
1年目、2年目に次ぐ試合数の少なさである。
「なのでー、点数をつけると、30点くらいね。頑張れモップ!(元キャプテン)」
「でも今季、上がってきた後は試合に出ると良い仕事していたよねー」
「そうね、四球、ヒット、送りバントとか、きっちりね。まあ、守備はいつも通り危なっかしいけれど」
「あとはやっぱり、筒香選手が嬉しそう?」
「大好きなのよ」
決して弁が達者なわけではないのは、微妙なヒーローインタビューを聞けば分かる。
だが、負けず嫌いで誰よりも練習をして、怪我をしても泣き言を言わない姿を後輩たちは見てきているのだ。
「後半は調子が落ちちゃったけど・・・・」
「でも、まだ老け込む年齢じゃないわよ! 実際、盗塁数は2017年の1つから5に増えたしね」
「積極的に走っていたよね」
「ヒットだってあと18本で1000本安打よ。負けるな雄洋!」
石川も、今の横浜では他にいないタイプの打者である。
犠打がきちんとできて、進塁打ができるのだ。
「・・・・なんかレベルが低く感じちゃうけど?」
「仕方ないじゃない、他にいないんだから。横浜では数少ない、エンドランを仕掛けられる打者よ!」
他は宮崎くらいだろうか。
「立場的には厳しくなってきているけれど、上述したように犠打、エンドラン、そして走塁が上手だから、サブとしてならまだまだいけるわよ。てか、被るタイプの打者がいないのも強みよね」
「あー、確かに石川選手、走塁が上手い気がする」
「盗塁はあんまうまくないけどね」
「あと、フライ処理が上手い!」
「まー、それ故に深追いしがちだけどね」
「もっと褒めようよー」
「いやー、どうしても雄洋だと弄りたくなって。でも、そういうキャラなのよ!」
今や残されたわずかな暗黒戦士。
それを知ってか知らずか、スタジアムで久しぶりに出場した時の歓声は凄かった。
「石川が現役で残っているうちに優勝、何度か言った気もするけれど、これだからね!」
暗黒時代に叩かれる象徴となり、DeNAになったら若手が出てきて追いやられつつある石川。
それでも腐らずに戦うのだ。
そう、栄冠を掴むその日まで!