2018年振り返り #17 輝きを取り戻した唸る直球 三嶋 一輝
「三嶋、ふっかぁーつ!」
雄たけびを上げる結乃。
呆然と見上げる理衣。
「結乃、ちょっと・・・・」
「そうね、復活というほど過去に大活躍をしていたわけじゃなかったわね」
冷静さを取り戻したかのように、落ち着いた声で言う結乃。
「それはそれで言い方がどうかと・・・・」
「さあ、三嶋の2018年の成績よ!」
「聞いちゃいないし・・・・」
#17 三嶋 一輝
当番試合 : 60
投球回数 : 68
防御率 :3.97
勝利 : 7
敗北 : 2
セーブ : 0
ホールド : 15
奪三振 : 82
「本当に、2018年はよく投げてくれたわ!」
「60試合も投げていたんだね!」
「当初はビハインド要員から、好投を続けてやがて勝ちパターンでも。でも、どんな場面でも投げてくれたのはありがたいわ」
「基本的にパットン投手、山﨑投手以外は勝ち負け関係なく投げていたよね」
おそらく、ファンの多くも三嶋がここまで投げてくれるとは思っていなかっただろう。
「防御率が悪く見えるけれど、それも阪神戦で一度大炎上したのが原因で、それさえなければ悪くなかったしね」
「中継ぎだとイニングが少ないからそうなっちゃうよね」
あの試合だけ、三嶋もちょっとキレてしまったのだろう。
だが、これだけ投げてくれたのだ、一試合の結果だけで責められようもない。
「今季、よくなったのはなんでかな?」
素朴な疑問を呈する理衣。
「なんといってもストレート! 三嶋の魅力はストレートだったのに、二年目からそのストレートの威力ががくんと落ちたように見えたからね」
球速も140キロ台前半で、制球を重視したような形ではあったが威力はなくなっていた。
二年目の開幕での躓き以来、輝きを失っていた三嶋。
復活はやはりストレートだったろう。
「マウンドの上で跳ねるように躍動していたのも良かったわね」
「活き活きしていたね!」
「三嶋のストレートは浮き上がるようなストレートで、高めなのについつられて振っちゃうような、そんなストレートがルーキーイヤーは魅力だったのよ!」
「今季は150キロとか出していたしね」
「短いイニングで全力というのもあるでしょうけれど、下半身の安定、バランスのとり方とも言われているわよね」
「そのストレートがあってこその、キレキレのスライダー!」
「三嶋は基本、その二つだからね。もともと、球種が少ないから中継ぎ向きとも言われていたしね」
ストレートとスライダーを主としたコンビネーションで三振も取りまくった。
投球回数を大きく上回る奪三振数がそれを物語っている。
「2018年の成績には90点を付けられるわ!」
「おー、高得点!」
結乃の言葉を聞いて、拍手する理衣。
「あとは、オフに体を休めて、2019年に向けてダメージをいかに抜かすかね」
「中継ぎでフルで活動したの、初めてだもんね」
「来期もやってもらわないとね。特にパットンがどうなるか分からないから、それによっては後ろへの影響は大きいわ」
「中継ぎは大変だもんねぇ」
なかなか、何年も連続で成績を残すのは難しい。
「目指せ、セットアッパーよ!」
「あのストレートは見ていて気持ちよいよね」
2019年もガンガン投げて欲しい。
ただ、MCにはなるべくならないようにはして欲しいが、コントロールを気にしすぎると三嶋の意ところが失われる。
やはり、ふてぶてしく攻めていくのが三嶋らしい。
期待しているぞ、三嶋!