2019年、鍵を握る男はコイツだ!
「いよいよ2019年となったわね! ベイスターズが優勝する年よ!」
振り袖姿で言い放つ結乃。
この日は箱根駅伝を見て遅まきながら近くの神社に初もうでに足を運んでいる。
結乃は普段着で行こうとしたのだが、理衣から強引に振袖を着させられた。
その理衣は、結乃の振り袖姿を見て尻尾を振らんばかりの喜びようで、写真を撮りまくっている。
「よく、そういうことを本気で言えるよね、毎年」
写真を撮影しながら言う理衣。
「あったりまえでしょう、いつでも本気で優勝すると思っているんだから。あたしの予想勝利数合計すると、軽く90勝は越えちゃうわ!」
まあ、「あるある」である。
二人は賽銭箱の前までやってくると、お賽銭を投げ入れて祈る。
願うはもちろん、優勝である。
「でもさー、正直な所、優勝するにはやっぱりキーマンがいるわよね」
「カギを握る選手、誰かな?」
「そんなの決まっているじゃない、『蒼き韋駄天』、梶谷隆幸よ!」
「あー、なるほどね」
拳を握りしめて言い放つ結乃を、少し窘めつつも頷く理衣。
何せここは家の中ではなく、他の人もいる公共の場なのだから。
「長打が打てて足も速くて走れる、カジがいれば打線が全然変わると思うのよね」
「まあ、各駅停車じゃなくなるよね」
打てる選手はもちろん必要だが、打てて走れる、そういう選手が2018年はいなかった。
「得点力増加には梶谷の力が絶対に必要よ!」
ヒット、四球を二塁打に出来る。
単打で二塁から帰って来られる。
HRも20本打てる。
「大体ね、みんな梶谷の事を過小評価しすぎよ。出場していれば、WARでも大きくプラスを出すのに!」
「あの、三振の仕方でイメージが悪くなっているんだよね」
苦笑する理衣。
「でも、2018年は打撃スタイルも変えて、三振が少なくなって、本人的にも手ごたえを感じていたわ!」
「怪我したけれど、肩の手術もして、万全な状態になれば楽しみだよね!」
「問題は守備位置だけどね。梶谷をライトで使うなら、ソトがセカンド。守備重視の人から異論は出るでしょうけれど、あたしはその攻撃的布陣でいいと思うわ!」
「不安だけどね・・・・」
とはいえ、ベイスターズの課題は得点能力である。セカンドが2018年と同じでは、大きな上積みは期待できない。
センター梶谷では、守備的に少し不安が残る。やはり梶谷はライトがベストであろう。
「でも、2019年の梶谷には期待できるわよ! なんたって結婚もしたし!」
「おめでとうございます、わーっ、パチパチ!!」
手を叩く理衣。
「これで、夏場の体重減の心配も少し減りそうだね」
「ぷーさんの愛情チャーハン差し入れも不要になりそうね」
「ぷーさんは結婚しないのかな?」
「さあ・・・・」
「ということで、サプライズも何もない、2019年のキーマン発表でした!」
「身も蓋も無い・・・・」
「だけど本当、キャリアハイを叩き出すとあたしは信じているから!」