2018年振り返り #104 楽しみな原石 中川 虎大
「2017年の育成ドラフトで入った中川選手です」
資料を見ながら理衣が言う。
「高卒だし、2018年は育成の年ね」
結乃がそう言う育成の年だった中川のファームでの成績は以下である。
#104 中川 虎大
当番試合 : 17
投球回数 : 45
防御率 :5.00
勝利 : 5
敗北 : 5
セーブ : 0
ホールド : 0
奪三振 : 44
「育成ドラフトの高卒だし、まずは体作りと思ったけれど、結構投げているわね」
「本当だ、期待されているんだね!」
「そして、なんとまあキリの良い数字を残しているわね!」
「確かに・・・・5勝、5敗、防御率は5.00」
「奪三振はゾロ目、投球回数は惜しかったわね!」
「何が惜しいんだか・・・・」
苦笑する理衣だが、こういう偶然も面白いものである。
「魅力は何といっても、伸びしろよね!」
「それは高卒だし・・・・」
「そうじゃなくて、投手に転向したのが高校に入ってからだからね、だからまだまだ素材、原石ってことよ」
「でも、それで150キロ投げちゃうって凄いね」
「速いだけなら通用しないから、いかに質を高めるか、よね」
「こうして見ていると、本当に若手で楽しみな投手が多いね」
「中川も、2軍とはいえ先発でもこれだけ投げるとは思わなかったわね」
「大卒で即戦力左腕が入ってきてくれて、高卒の右腕当主が育っている感じだね」
「その分、競争が厳しいけれどね。でも、勝ちぬけばそれだけ力があるってことよ」
「高いレベルの争いをしてくれると嬉しいね。でも、誰かは上がれないのかもね・・・・」
「そこはもう、プロの世界だしねぇ」
「年代的には京山投手、阪口投手、そして入団する勝又投手と切磋琢磨、ってことかぁ」
「その年代だけでも強力に思えるライバルばかりよね」
「左腕だけど、櫻井投手もいるしね」
「将来の投手王国! まあ、昔だって同じような事いっていたけどね!」
「ここにきての自虐!」
「2019年は、二軍でローテを回せるようになることね。でも、二軍もライバル多いわよ!」
「育成の場なのに、投げる機会が奪われるってこと?」
「その辺は首脳陣も考えているとは思うけれど・・・・3年後くらいが楽しみね!」
焦る必要はないが、はやく支配下登録されて一軍にあがってくることを楽しみにしているぞ、中川。