2019年4月11日 阪神戦
結果:横浜5-2阪神戦
敢闘選手賞:大貫、神里
「おめでとう大貫投手、初勝利!」
ぱちぱちぱち、と手を叩いて喜びを表現する理衣。
隣の結乃は、複雑そうな表情である。
「上茶谷よりも先に大貫が勝つとは、不思議なものよねえ」
首を傾げる。
腐るなよ、上茶谷!
「まあ、勝ち運なんてそんなものかもね。どんな勝ちでも、プロ1勝目には変わりないわ!」
「なんとか粘って、最少失点で切り抜けたね」
「初回を見た時は、こりゃ駄目だと思ったのは事実だけどね!」
ボール先行で四球、ピンチを広げた。
なんとか2失点くらいで抑えてくれ、というのが本音である。
「でも、三浦コーチの激励もあって、無失点に!」
「その後も毎回ランナーを出して苦しんだけれど、どうにかソロHR1本に抑えたわね」
「そういう粘りが重要だよね」
「とはいえ、打線が強いとは言えない阪神相手だったからね。他のチームではこうはいかないからね!」
「もう、せっかくの初勝利なんだから、素直に祝福しようよ」
「次の登板時は6回を目標に!」
ローテ6番手とはいえ、毎試合5回まででは厳しいのも確かだ。
「打撃では好調、神里選手が3ラン! これが決め手になったね!」
「とはいえ1安打だけどね。まあ、良いところで打つのもいいけど、出塁を頑張れ!」
「初回には四球でも出たじゃない」
「今後も精進するように」
「偉そうだなぁ・・・・」
「あとは光が先制打含む2安打、2出塁。やっぱり下位が打てるのは違うわよね!」
「今日はロペス選手、ソト選手がノーヒットだったけど、そういう日は他の打順で点が取れるの、いいよね!」
「そうねぇ。とはいえクリーンナップ、ソトと宮崎が冷え冷えなのはどうにかしてほしいわよね」
絶好調になれとはいわない。
せめて、普通か、普通よりちょっと調子が悪い、くらいにしてほしい。
「ちなみに、何気に2イニングを喰ってくれた国吉もありがたかったわよね」
「リードの場面での登板だったね!」
「1点は取られたけれどソロHRだし、ランナー貯めるのが一番まずいから、悪くはなかったわよ」
何より、登板過多の中継ぎ陣を休ませられた。
もともと先発をやっており、ロングリリーフ出来るのはやっぱり有難い。
「そうして、お待たせしました! 康晃投手が今季初セーブ!」
「セーブシチュエーションが今までなかったものね、ことごとくぶっ潰されたから」
「また、そういうことを言う・・・・」
この日もパットンが二人の走者を出したが、なんとか抑えて山崎につないだ。
「初戦でどうなるかと思ったけれど、勝ち越したわ! これは大きいわよ!」
「返す返すも、上茶谷投手だけが・・・・」
「プロの試練よ!」
「その試練を与えているのが味方なんだけどね・・・・」
耐えろ、上茶谷!
「そして次からは3連覇王者のカープと対戦! これで1まわりね」
「カープさんは開幕から調子悪いみたいだけど」
「そういうタイミングで当たるのが逆に嫌ね。そういうチームに元気を与えるのが得意なチームだもんね」
「やめようよ、そういうの」
「でも、だからといって同情とかはできないわよ! 噛みあえば強いし、叩けるときに叩かないと、どう蘇ってくるか分からないんだからね!」
一つの勝利で一気に波に乗ることだってあるのが野球。
ましてや3連覇中からそこまで選手が変わっているわけではないのだ。
「まずは初戦、相手の大瀬良は難敵だけど、こっちも今永、負けられないわよ!」
これからもエースとの対決は続く。
今永、託した。