結果:横浜4-2広島戦
敢闘選手賞:井納、ロペス
「いよーっし、連勝よ!」
結乃が勝ち鬨をあげる。
「え? 連勝?」
「あたしの現地観戦での連勝よ!」
首を傾げる理衣に向けて、結乃が言い放つ。
そう、ここは試合が終わった直後の横浜スタジアムであった。
「先週の巨人戦に続いて勝利、ちゃんとあたしがスタンドにいることを理解しているようね、選手のみんな!」
「なんでこんな偉そうなのかなー?」
首を傾げつつも、勝利したので細かいことは言わないことにする理衣。
やや風が肌寒い中、勝利の余韻にひたって心はあたたかい。
「やっぱりスタメンから筒香がいなかったけれど、こういう時に頼れるのがロペス! 逆転2ラン!」
「本当に頼もしいよね! それまで九里投手に抑えられていたけれど、一発で逆転!」
「それだけじゃないわ、守備でも1回、ライン際の打球を横っ飛びでおさえてアウトにしたしね」
「あの後、この試合で2安打1HRの鈴木選手だったから、アウトにしてチェンジにできたのは大きかったよね!」
好守に光っていたロペスであった。
「4回はロペスのホームランのあと、2アウトランナー無しからもう一点、追加点を取れたのが大きかったわよね」
「佐野選手が2ベース、倉本選手が四球のあと、嶺井選手がタイムリー!」
「筒香の代役で出た佐野、そして大和と光の休養試合で出場した倉本と嶺井、そういった選手でもぎとった一点というのが尊いわ!」
結乃が拳を振り上げて言い放つ。
グラウンドでは、ヒーローインタビューの準備が進められている。
「打線が苦しい中、先発の井納投手が素晴らしいピッチングだったよね!」
「そうね、鈴木に一発は打たれたけれどソロだし、その1安打のみで6回まで投げ終えたからね、文句ないわ」
「7回、その鈴木選手に打たれたらスパッと替えたね」
「もともとそういうつもりだったんでしょうね。手術明けだから、まだ大事にいっているみたいね」
こういう試合、投手交代が流れを変えることは十分にある。
実際、後を受けたエスコバーがバティスタにヒットを打たれ、1死2,3塁と一打同点のピンチを迎えた。
「あそこがこの試合の焦点ね。そこでまさかパットンが出てくるとは思わなかったけど」
「今シーズン、調子よくないもんね。でも、そのパットン投手が2者連続三振!」
「嶺井の後逸さえなければ無失点だったんだけどね・・・・」
嶺井はその後、8回にも後逸しており、タイムリーは打っているが反省である。
「一点差に詰め寄られたけれど、8回にはソト選手が突き放す6号ソロ!」
「ソトはこれがあるから、打率が悪くても外せないわよね!」
1点差と2点差では見ている方も全然違う。
「康晃の不安定さでは、1点なんてないも同然だしね!」
「またそんなこと・・・・ノリノリで”康晃ジャンプ”やっていたくせに」
「そこはノらないでどうするのよ! それに、康晃はノせていくタイプだし」
今シーズン、横浜スタジアムで初のセーブシチュエーションだったが、なんと三者凡退に抑えた山崎であった。
「これでまたしてもカード勝ち越し! 広島を復活させなかったのも大きいわ!」
「振り返ると、4回の集中打と、8回のソト選手しか打っていないんだよね。それでも勝てたんだね」
「野球は投手を中心とした守りが重要で、それが出来ているからね。ロペス以外に神里も好守を見せたし、守備固めもきっちりやったし、主砲がいない中で出来ることをきちんとやったと思うわ!」
チーム一丸となっての勝利であろう。
「次週はビジターで5試合、勝ち越すわよ、国吉ーーーー!!」
ヒロインを終え、グラウンドに出てきた選手達に向けて大声を放つ結乃。
なぜか、国吉の名を。
「だって大きくて目立つんだもん」
何はともあれ週末、勝利をしてから新たな週が始まるのが気持ち良いものである。
気分よく、会社に、学校に、その他もろもろに向かいましょう!