2019年5月2日 ヤクルト戦
結果:横浜2-0ヤクルト
敢闘選手賞:今永、筒香
「暑い! 騙された!」
スタジアムで開口一番、結乃が言った。
「確かに、雨だと思っていたのにね」
理衣も陽射しのふりそそぐ様子に目を細める。
雨雲レーダーを見ると、雨雲がかかっては抜ける、みたいに見えたし、家を出る時は実際、降ったりやんだりをしていた。
そのせいでちょっと肌寒いかもしれないと、きっちり着込んできたら、この暑さである。
「雨雲レーダーめ!」
「ま、まあ、勝ったんだしいいじゃない」
理衣がなだめる。
「だけど、お蔭で体調がイマイチよ!」
結乃が言うが、それは単に体が弱いだけである。
「でも今永投手、8回無失点で3勝目! 防御率も0点台だって、凄いね!」
「調子はイマイチっぽかったけどね、カウント悪くすること多かったし。それでも抑えられるようになったのが良いわよね」
「8回も投げてくれて、中継ぎ投手も休めたね」
「その辺もちゃんとわかっているわよね。6回で100球だったから、せいぜい7回で終わりと思ったけれど」
おかげで登板過多気味のエスコバーを出さずにすんだ。
「本当にエースらしくなってきたわね。登板するとき、援護がないからまだ3勝だけど、6戦連続でQSだし」
「今日もなかなか援護がなかったもんね」
「もう一発しかないと思ったら、その通りに筒香が2ラン!」
「さすが4番!」
「5回までノーノーやられると思っていたけれど、勝てる時ってこんなもんよね」
チーム通しても3安打だけ、まさに守り勝ちである。
「だけどまあ、運も良かったわよね。ヤクルトはバレンティンがいなかったし、送りバントミスやサインミス? みたいなのもあったし」
「最大のピンチ、7回の1死2,3塁でも、ヤクルトさんはスアレス投手だったし、それまでのピッチングから代打を出してこなかったもんね」
「そういう巡りあわせもね。まあ、こちらも石川が初回にバント失敗あったけど!」
ああいう小技でこそ、失敗をしてはいけないはずの石川。
試合には勝ったが、反省であろう。
「そして何より康晃! 2死からなんで連続四球!? しかも荒木、西浦に!」
「もー、ヒヤヒヤしたよね。球場の雰囲気もざわざわしはじめて」
「川端が優しくて助かったわ!」
ツーシームは完全に見極められ、振ってくれなくなっていた。
今後の配給も考えなければならないだろうし、球種も2つではなお苦しい。
「だけど、勝利は勝利、大事だよね」
「令和、勝率10割継続よ!」
借金返済に向けて突き進んでほしい。
「そこで次の阪神戦、阪口vs西! どう考えても勝てる要素がないわ!」
「そんなことないでしょ!」
「オリックス時代から西を打てていた記憶がないのよねー」
「でも甲子園なら、勝てるかも!」
「横浜スタジアムで阪神には勝てないものね。しかし甲子園3連戦、西、メッセ、岩貞と、どこで勝てるのかしら?」
「う、うー」
厳しい対戦は続く。
「それでも10連敗を取り戻すには勝つしかないわ、この前の横浜での借りを返すのよ!」
甲子園での阪神戦なら勝機はある。
なんとか投手陣が粘って、打線が点を取るのを待ってほしい。
さあ10連戦の残り4戦、全勝をめざせ!