2019年5月17日 ヤクルト戦
結果:横浜4-3ヤクルト
敢闘選手賞:今永
「冷や冷やしたけど、どうにか勝ったわねー」
結乃が薄い胸を撫で下ろしながら言う。
「1点差で勝ったの、久しぶり?」
理衣も、最終回は祈るようにして見ていた。
「あいかわらず康晃は三者凡退しないわね。ツーアウト取ってからピンチとか、いつぞやと同じね」
「ま、まあ、抑えたし」
「そうだけど、見ている方はまたやられるんじゃないかって思ったわよ!」
安心して見ていられる守護神となるのはいつのことやら。
「だけどこの試合、最終回もそうだけど、7回もよくリードを守り切ったわね」
「あそこの方が、生きた心地がしなかったよー」
思い出したのか、理衣はその豊かな胸に手を置いて浅く呼吸をする。
「柴田、守備固めに入って、大事なところでエラーしているんじゃないわよ!」
失点はやはりエラーからであった。
あれがなければ今永も7回を投げ切れたかもしれない。
「でも、エラーも皆で補い合って、リードしたままだったしね!」
「珍しいわよね、今までならエラーをきっかけに逆転されて大量失点、ってのが定番だったのに」
「パットン投手が踏ん張ってくれたね!」
ヤクルト戦では何度も痛い目にあったパットンが、この日はピンチを抑えてくれたのだ。
「気温もあがってきて、パットンも調子がよくなってきたのかしらね」
「これで、中継ぎ陣の調子も上向くとよいね!」
まだ三嶋も砂田もアテに出来るとは言えず、しばらくはパットン、エスコバーで勝ち試合は凌いでいかねばならない。
今永が7回まで投げ切れれば、どちらかは休めた可能性が高かったが、仕方ないところ。
「今永で勝っておかないと、いつ勝てるか分からないからね!」
情けないが、事実でもある。
「打線は、なんと今日は連続タイムリー2ベース! 神里選手、宮崎選手! ソト選手!」
「なんとも珍しいものをみたわね。たまにはこういうこともあるか」
「5安打で4点だからね、効率も良かったし!」
「うーん、奇跡ね」
「もっとポジティブにいこうよ!」
勝ってもネガティブな発言の結乃。
らしいっちゃあ、らしいかもしれないが。
「これでまだ、2番宮崎、3番ソトの打線が続くわね。本当にこの並びで良いのかしらねえぇ?」
腕組みをして、結乃は首を傾げる。
「機動力が無いのは、もうしようがないのかもね・・・・」
理衣も小さな声で応じるしかない。
「もういいわ、勝ったし、あとは連勝! いい加減、上茶谷に勝利をつけなさいよ!」
「濱口投手も神宮にいたみたいだし、もしかしたら3戦目に登板かもね!?」
「そうしたら、先発はなんだかんだようやくそろってきた感じね。平良が2軍で打たれていたけれど・・・・」
あとは打線、繋ぐ意識をもって欲しいとしかいえない。
「・・・・」
「あれ、急に黙っちゃってどうしたの結乃?」
「さっき、あたしの胸が薄いとか言った!?」
「私じゃないよ!?」