2019年6月22日 楽天戦
結果:横浜9-11楽天
敢闘選手賞:武藤
「今日の敗因は神里かーっ!!」
「え、いや、さすがにそれはどうかと・・・・」
「あれ、追いついていなかった? 桑原なら普通に捕っていたんじゃない?」
結乃が言っているのは5回の楽天の攻撃の事。
センターへの飛球、神里が追いついてグラブを出して取りに行ったと思ったら、落ちていた。
結乃が座っていた場所からだと見づらくてよくわからなかった。
「でも、神里選手がいなかったら、初回の大逆転もなかったわけだし」
「分かっているわよ、今日の敗因は大貫だって」
何せ初回、1死も取れずにKO、交代となったのだ。
「もう今日は、1回の表で帰ろうかと思ったわよ!」
結乃が言うのも無理はない。
1回の表だけで30分以上、相手の攻撃を見続けたのだから。
しかし相手先発もある意味谷間的な存在。
ライトスタンドからのライジングを背に受けて、ベイスターズも怒涛の反撃を見せた。
「まあ、相手が四球を出して勝手に自滅したのもあるけどね。この辺、お互いさまよね」
宮崎の押し出し、ロペスのタイムリー、大和のタイムリー、そして神里の逆転タイムリー。
「まさかまさかの展開だったね」
「そうね、1回表が終わった時点で0-6だったのが、1回裏が終わって7-6になるなんて誰も予想していなかったわよ!」
「大貫投手は残念だったけど、武藤選手が3回無失点のナイスピッチング!」
「良かったわよね、あのまま勝てていればヒーローインタビューによばれたでしょうに」
「そう甘くはいかなかったねぇ」
がっくりと肩を落とす理衣。
「まあ、初回で投手を2人使っちゃって、国吉もエスコバーも使えない時点で、平田を出さざるをえなかったのはわかるんだけど」
しかし、リードしている時の平田ほどあてにならないことはない。
「せっかくゲッツーとったのに、四球、死球って、阿保なの!? そしてタイムリーとか!」
無駄な四死球でランナーを貯めてうたれる。
最悪のパターンである。
「まあ、あの打球を捕れなかったのもどうかと思うけどね!」
「だから、良く見えていなかったくせに・・・・」
「三嶋もね、回跨ぎせざるを得ないのはわかるから、あんま責められないけど」
勝負に出るなら、7回から石田、パットン、康晃とつなぐ手もあったが、延長のことを考えると三嶋にイニングをくってもらうしかなかったのだ。
そこは理解できるので、三嶋をそこまで責める気にはなれない。
「4回以降、ヒットを打てない打線が駄目ね!」
「9点も取ったのに・・・・」
「この試合で勝たないと、3戦目には岸が来るのよ!?」
一時は3点リードしたのだ、勝ちきりたかった。
「あーもう、あたしの天覧試合で負けるなんて!」
ポンチョから雨粒を滴らせながら、結乃が悔しそうに地団太を踏む。
「展覧試合って・・・・」
スタジアムを後にし、どこか呆然と関内駅に向かう理衣と結乃。
「でもほら、0-6のときはさ、捨て試合と思ったし、少しでも楽しませてくれー、って言っていたじゃない」
「そりゃまあ、0-6の時点でボロ負けと思ったのが、あそこまで食い下がったってのはあるけどさ」
結乃はまだ頬を膨らませている。
どんなに善戦しても、負けたら悔しいのは当たり前だ。
「点は取ったけれど、5回からは無安打だからね! それで岸相手にどうなるか! 特に仕事をしていない4番!」
この試合でも1四球のみで良いところのなかった筒香である。
「せめて、相手のエースを打ち砕く一撃を!」
「上茶谷投手に援護を!」
「交流戦、勝って締めるわよ!」
「おー!」
頼むぜ、大河!