2019年8月9日 中日戦
結果:横浜10-6広島
敢闘選手賞:筒香
「サード筒香できたかーーーーーー!?」
結乃が叫ぶ。
「びっくりだね」
理衣も目を丸くしている。
サードの宮崎が骨折で今季絶望となり、中井、柴田あたりで凌ぐと思われたのだが。
ラミレスが選んだのは筒香をかつて守ったサードに戻すというモノだった。
「確かに以前守っていたし、そう考えないことも無かったけれど、ズバッとやってきたわね」
「思い切ったよねー」
スタメン発表の際は球場も驚きに包まれた。
「でも、攻撃では光、宮崎と下位打線の主軸とビッグ4の1人を欠く状態、攻撃力が落ちるのはどう考えてもだからね」
「守備を固めるのではなくて、攻撃力を取ったということだね」
「投手陣はある程度整備された。後は点を取るためにどうするか、ね」
「リスクをとってでも攻めに転じたこの決断がどう出るか、だね!」
「まー、遊撃の大和からしたら、『はぁ? サード筒香にセカンドはソトor中井or伊藤ゆ? 冗談はやめてくれよ!』ってところかもしれないけどね」
あと2カ月、大和、頼みます。
「あとはラミレスも言っているけれど、立て続けに主力が怪我している中、チームの雰囲気を変えるためってのもね」
主砲であり主将である筒香が率先してチームの為に動く。
他の選手だって発奮するだろう。
「1シーズンずっとは厳しいだろうけれどシーズン終盤残り2カ月ならいけるかもしれない」
「もちろん守備面でのリスクはあるけれど、優勝するためには勝負に出ないとね」
「何もしなかったらジリ貧の可能性の方が高いしね。見ているファンもそう思うんだから、勝負に出るのを否定しないわ!」
「そして試合ではその筒香選手が大暴れ! 2本塁打7打点!」
「ホームランはいずれも左方向だし、良い感じね。やっぱ2番の方が良いのかしら?」
「乗ったようにソト選手、ロペス選手も3安打!」
「宮崎がいない以上、この二人にも打ってもらわないと仕方ないからね」
「さらにさらにー、伊藤ゆ選手がプロ初ヒット!」
「思い切りがよさそうね。ロメロの速球をきちんと打ち返して、なかなか楽しみじゃない!」
「左投手の時はスタメンで使われそうだね」
「宮崎の怪我は痛いけれど、だからこそ巡ってきたチャンス。伊藤ゆはここでセカンドのレギュラーを獲りにいくくらいの気持ちじゃないと駄目よ!」
主力の怪我は若手、新たな力が台頭する機会でもあるのだ。
今はきついかもしれないが、数年後のチームのことを考えると良い機会ともとらえられる。
「特に内野手は高齢化してきて若手があまり出てきていないからね! 気張りなさいよ伊藤ゆ! 怠慢プレイは許さないわよ」
「またそういうことを・・・・」
とはいえ、アレが伊藤ゆには良かったのだろうとも思える。
「打撃では筒香が爆発したけれど、投手はイマイチだったわね」
「平良投手、序盤から苦しんでいたね」
「てゆうか、3回までに8安打されてよく3失点ですんでいたわよね」
「なんとか5回を投げ切って勝利投手! こういうときもあるよね」
「勝ち運も持っているのかしらね」
次の登板時は頭からシャキッと頼むぜ平良。
何せ翌週は広島が相手だ。
「そして最後に出てきた飯塚・・・・言うべきことはないわ。こういう登板できっちり抑えないと!」
次の試合、相手に流れがいかないとも限らない。
「それにしてもヤクルト、阪神はやる気がないの!? 序盤にビッグイニングで大量リードしながら逆転負けとか!」
「ベイスターズも負けるわけにはいかないねぇ」
上位3チームの中で、主力に怪我人が多く、苦しいのは間違いなくベイスターズだろう。
だが、けが人が出たことでチームがまとまることもある。
「こんな優勝争いが出来るシーズンなんて優勝した年以来なんだから、貴重な経験よ!」
「できればそこで勝ち抜いて欲しいね!」
「勝ち抜くのよ!」
久しぶりの熱い、熱い、夏。
チームもファンも、もっともっと熱くなろう!