2019年8月25日 巨人戦
結果:横浜3-0巨人
敢闘選手賞:今永、乙坂
二戦目に悔しいサヨナラを喫し、悔しい思いで迎えた三戦目。
ここで敗戦なら、ほぼ終戦確定だ。
そんな試合をファンが後押しする。
「初回から、ライジング発動っ!」
「頑張れぇーーーっ!!」
結乃も、理衣も、声の限りに応援する。
選手達に届けと声を上げる。
先発は今永vs山口。
最多勝、防御率、奪三振を競い合う、リーグNo.1、2の対戦。
当然、そうそう点が入るような様子を見せない。
2回などは三者三振にきっておとされる。
「ぐぬぬぬ、さすがどすこい・・・・っ!」
ハンカチを噛んで悔しがる結乃。
もし、山口が残って左右のエースとしていたら、なんてことは考えない。
今はただ、倒すべき相手として睨みつけるのみ。
対する今永は前回の完封の疲れもあるのか、抑えているが球数をようして苦しんでいる部分もある。
だが、先頭打者を2塁打で出塁させても、進塁させずに抑える。
そして。
「いよぉーーっし、柴田、ナイスよ!」
大和の休養でショートで先発の柴田が2塁打で出塁。
今永がきっちりとバントで送ると、9番に入った乙坂。
「先制タイムリーっ!!」
「格好良い、乙坂選手!」
おそらく1点勝負を予感させるこの試合、先に点を入れたのはベイスターズだった。
しかしその後は山口の前になかなかランナーを出せない。
一方で今永も球数は要しながらも丁寧に投げ込み、点数を与えない。
どうにかして追加点が欲しいベイスターズは7回表。
先頭の戸柱が四球で出塁したところで勝負に出た。
「代走、神里! 点を取りに、勝負に来たわね!」
「1点じゃ、厳しいもんね!」
1点を守り切るのではない。さらに点を取って突き放す。
勝負に出たベイスターズベンチの決断は、またしてもこの男によって報われる。
「乙坂選手のタイムリースリーベース!!!」
「おっしゃああああっ!!!」
盛り上がるレフトスタンド、三塁側スタンド。
待望の追加点だった。
7回の裏、代わったエスコバーが先頭の岡本に2塁打を打たれる。
しかし、後続を抑える。最後は前日、苦杯を舐めさせられた石川を三振にきってとる。
すると8回。
巨人戦といえばこの男。
「ソト、よく打ったぁ!!」
貴重な、貴重な三点目は、ソトの32号ホームラン。
8回を三嶋がきっちり抑え、9回は前の試合で2死から追いつかれてしまった山崎。
3点差とはいえ、きっちり3人で締めて3-0の完封勝利である。
「そうよ、まだまだ諦めないんだからね!」
「優勝の可能性がある喜び、だね!」
「勝っても負けても何もなかった、断トツ最下位だった時代に比べれば、今はどうよ!」
他のチームのファンには分かるまい。
どこよりも、誰よりも負け続けてきたベイスターズが、今、こうして戦えている幸せを。
6ゲーム差。
ジャイアンツとは残り6戦あるのだ。
このところ、ジャイアンツにカード勝ち越ししているのはベイスターズだけ。
「これからよこれから! どんな姿になろうとも、しがみついていくのよ!」
伊藤光、宮崎、パットンがいなくなり、東も怪しい。剣は折れ、矢も尽きているかもしれない。
だが、まだ傷だらけの体と拳が残っている。
残り1カ月。
死力を振り絞れ。