2019年振り返り #0 ユーティリティ性で一軍に生き残った男 中井 大介
「ジャイアンツから戦力外となった中井ね」
「なんだかんだ、ずっと一軍にいたねぇ」
本人としては、それなりにやれた一年だっただろうか。
「さて、実際の成績は、と・・・・」
#0 中井 大介
出場試合 : 79
打数 : 161
打率 :.248
安打数 : 65
HR : 4
打点 : 7
盗塁 : 2
「うーん、まあ、こんなもんかしら?」
首をひねりながら結乃が言う。
「評価に困る感じ?」
「そうねえ・・・・」
とはいえ、もともと戦力外からの獲得であり、そこまで大きな期待をしていたわけでないことは確か。
ユーティリティとして内野を守り、右の代打として、時にはスタメンとして、それなりの成績を残してくれた。
「点数的には60点てところよね、まさに」
「可もなく不可もなし、ってところだね」
「チームとしては一軍にいてくれて助かったと言えるけれど、逆に言えば中井以上の控えがいなかったとも言えるわよね」
「中井選手を上回る選手がいてくれると良かった、ってことだね」
「右打ちの内野手となると、あとは飛遊馬とか伊藤ゆか・・・・」
そうなると、中井に軍配があがるのも致し方ないところ。
「まー、ジャイアンツにいたからか、バントとかは意外とうまかったわね」
「基本が鍛えられているのかな?」
「でも守備が劇的に上手いわけでも、打撃が物凄くよいわけでもないからねぇ。足も。すべてそこそこくらい」
「それでも一軍だけどね」
「何せベイスターズだからね! 層が薄いわ!」
「胸を張って言うことじゃないよね」
理衣は苦笑いするしかない。
「とはいえ、2020年も同じで良いってわけじゃないわよ!」
「より一層の向上だね」
「特に打点! HRは4本打っているけれど、打点7って! 打席数、安打数に比較して少なすぎ!」
「確かに・・・・」
「本人も気にはしているようだけどね」
「若手もつきあげてくるでしょうし、勝負強さを磨いてほしいわね!」
「筒香選手がメジャー挑戦で、出場機会も増えるかも?」
「いやー、それはちょっと違うでしょう。やっぱりユーティリティとしての価値向上こそ生き残る道じゃない」
「ベイスターズ2年目も、チームへの貢献、期待しています!」
巨人の胴上げを目の前で見て涙を流した中井。
2020年は、共に悔しさを晴らそう!