2019年振り返り #37 オープン戦首位打者も一軍では苦戦 楠本泰史
「楠本、期待していたんだけど!」
結乃が悔しそうに指ぱっちんをする。
「多くのファンも期待していたと思うよ!」
理衣も言う。
しかし、プロは甘くなかった。
#37 楠本 泰史
出場試合 : 39
打数 : 72
打率 :.208
安打数 : 15
HR : 1
打点 : 6
盗塁 : 0
「数字的には一年目とほぼ同じ感じね」
「オープン戦では絶好調だったんだけどねー」
何せオープン戦では首位打者を獲得し、そのまま開幕一軍、そして開幕スタメンも獲得したのだ。
「開幕戦では2打数2安打3四死球で出塁率10割と、これは今季いける! と期待したんだけどね」
「その後が続かなかったね。守備でソト選手とぶつかっちゃったことも影響したのかな」
「なくはないでしょうね。痛くても開幕スタメンだったし、チャンスは手放したくなかったでしょうし」
しかし結果的にはそれ以降、打撃の調子を落としていた。
「でも悪いことばかりじゃないよ、ほら、プロ初HRも放ったし!」
「あれは見ている方も嬉しかったわね」
「逆転満塁ホームラン! だもんね!」
敗色濃厚な八回の裏に起死回生の逆転弾は、誰も予想していなかっただろう。
「プロ入り初HR代打HR自体が8人め、それが逆転満塁弾となると史上二人目だったからね!」
「劇的だったよね!」
バットコントロールが良いと言われ、実際にオープン戦で証明し、多くのファンからも期待されていた。
でも、それだけですぐに結果が出せるほどプロは甘くない。
そう苦しんでいた中で出たホームランは多少なりとも自信になっただろうか。
「打率は低いけれど、出塁率は打率より9分くらい良いし、さらに打撃を磨けば化けるかもしれないわよ」
「ドラフト下位だけど、宮崎選手もいるしね」
「左右のヒットメーカーを横浜から排出したいわね!」
それだけの能力はきっとある。
「守備には課題があるだけに、打撃で他を上回らないとね!」
「内野守備とかも挑戦していなかった?」
「もともとは内野手だったはずだけど・・・・今はどうなのかしらね」
「色々と悔しい思いをしたシーズン、その悔しさを来シーズンにぶつけて欲しいね!」
「そうね、巨人の優勝が決まった試合で最後の打者にもなったしね」
「それは悔しいね・・・・」
「やられたらやり返すのよ!」
苦しみ、失敗、悔しさをバネに、2020年にヒットメーカーへの第一歩を踏み出せ。