2019年振り返り #44 代打の切り札からスタメン主力へに 佐野恵太
「２０１９年、ブレイクした感のある佐野選手だね」
理衣が弾んだ口調で言う。
「実際、良いところで打ってくれたからね」
と、結乃も納得の表情。
打撃を期待されて入団した男が、その打力を発揮し始めたシーズンだった。
＃４４ 佐野 恵太
出場試合 ： ８９
打数 ： ２１５
打率 ：．２９５
安打数 ： ５９
ＨＲ ： ５
打点 ： ３３
盗塁 ： ０
「一年目から順調に成績をのばしているわね！」
「打率も３割近く打って、安定感も出たよね」
「何より、良いところで打ってくれていたからね」
「代打の佐野選手には期待しかなかったね！」
と、言いたくなるのももっともで。
開幕直後は代打で４打数４安打８打点と、まさに出れば打って打点を稼ぐ活躍だった。
もちろん、それがずっと続くわけもないが、それでもシーズン最後まで良い結果を残してくれた。
「代打で結果を残したから、スタメン出場も増えて打席も増えたしね」
「宮崎選手が怪我して筒香選手がサードに入った時とかだね」
「佐野がある程度打ってくれることで、打線の低下を防げたわよね」
「サヨナラヒットに満塁ホームラン、色々と記憶に残っている一打も多いね」
「とにかく佐野が生き残るには打力よ。ドラフト８位だけど結果を残せば関係ない、もっとガンガン打ちなさい！」
「これは高得点も出そう？」
「そうね、求められていた役割から考えれば、８５点はあげたいわね」
「おー！」
理衣が拍手する。
「２０２０年は筒香がメジャーに行くからチャンスよね」
「外野、そしてファーストも狙っちゃう？」
「ロペスの年齢を考えると、将来的にはファーストになって欲しい気もするけどね」
外野の守備はまだまだ怖いというか、決して上手くはない。
「打撃だけじゃなく、キャラクターも良いよね！」
「なんか愉快なキャラよね。キャンプでも話しかけて来てくれたし」
「あーいうの、嬉しいよね！」
「ファンフェスでは最後、筒香と一緒に、Ｉ★ＹＯＫＯＨＡＭＡで締めたし、新キャプテンだし、頑張らないとね！」
「期待のあらわれだね」
「とはいえ、まだレギュラーってわけじゃないからね！ 外野はライバルも多いし」
「あとは、代打でいてくれると心強いってのもあるから悩むよね」
「まあね、２０１９年は佐野と乙坂がいたから、代打がそれなりに強かったのあるしね」
もちろん、本人としては代打で終わるつもりはなく、レギュラー奪取、であろう。
「さあ、２０２０年は更なる飛躍かしら？ それは自分自身にかかっているわよ！」
「人気も出て、まさにこれから！ 気合のいれどころだね！」
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