2019年振り返り #63 メキシコで一皮むけレギュラー奪え 関根大気
「関根、あんたは何をしているのよ!」
開口一番、怒り心頭の結乃である。
「お、落ち着いて結乃。どうしたの?」
理衣があわてて押さえつける。
「どうもこうも、関根の体たらくに怒っているのよ!」
そんな風に怒るのも致し方ない、2019年の関根の成績は以下である。
#63 関根 大気
出場試合 : 32
打数 : 26
打率 :.038
安打数 : 2
HR : 0
打点 : 0
盗塁 : 0
「うーん、これは確かに・・・・」
理衣も言葉を濁す。
「でしょ? これは、5点ね!」
「うわ、最低点・・・・」
「0点じゃないだけマシでしょ」
「それにしても、ここまで低いのは初めてだよね」
「全くヒットが出なかったもんね」
シーズン通してヒット2本。序盤はずっと0割だった。
「代打とかで1打席しかないから難しいのはそうだけど、そういった少ない機会をものにした選手がレギュラーに近づいていくんだからね」
「積極的なのが仇になって、初球アウトとかでイメージが悪くなったのもあるよね」
「入団した時の期待が大きかったからね、その分のガッカリもあるけれど」
気が付けば既に6年が過ぎている。
もう、余裕はない。
「今までにも何回も言っているけれど、外野手はライバルが多すぎる激戦だからね」
「そうだよねぇ」
「ラミレスが守備や代走で評価はしてるから、チャンスはなくはないはず。でも、早くしないとチャンスもどんどん少なくなっていくわよ!」
「若手が出てくるもんね・・・・って、関根選手も若いんだけどね」
それでも、大卒2年目の選手と同じ年齢。
そろそろ、である。
「ただオフはメキシコのウィンターリーグに出て活躍したみたいだからね」
「そこで何かを掴んで、日本でも活躍してほしいね!」
「またメキシコの英雄か・・・・」
メキシコでは出塁率.365、20盗塁と、リードオフマンとしての役割を果たした。
「2軍での成績は全く問題ないから、あとは1軍でいかに力を出せるか、なのよね」
「もう一歩、なんだよね」
2軍ではリーグ2位の打率を誇り、ホームランも12本、OPS.946(リーグ1位)と堂々の成績を叩きだしているのだ。
「トレードなんか勿体ないけれど、一軍に出られないのも勿体ない。だから、さっさと一軍定着、レギュラー奪取しなさい!」
「専用の応援歌が出来ますように!」
「ルーキーの年とか、すぐに出来ると思ったんだけどね」
強肩、俊足、野球センス。
持つべきものは持っている子なのである。
「花開けよ、大気!」