2019年振り返り #93 二軍で二冠、支配下をもぎとって将来楽しみ 中川虎大
「中川、将来が楽しみな右腕ね!」
結乃がにやりと笑いながら言う。
「2019年は躍進の年だったね!」
理衣は手を叩いて言った。
中川にとっては良くもあり、苦くもあった一年であっただろう。
#93 中川 虎大
当番試合 : 3
投球回数 : 5
防御率 :5.40
勝利 : 0
敗北 : 1
セーブ : 0
ホールド : 0
奪三振 : 3
「一軍の結果は置いておいて。まずは支配下登録されたってことよね!」
「そうだよね、育成から無事に、良かった!」
パチパチパチと拍手をする理衣。
「何せ二軍では規定投球回数に到達して11勝! リーグ唯一の二桁勝利投手だからね」
「それだけじゃなく、防御率も2.25でトップ!」
「そりゃ期待で支配下登録もするわよね!」
先発投手のやりくりも苦しくなってきた中、二軍で圧倒的な結果を残していたのだから支配下登録、一軍登板も納得のものである。
「一軍登板では結果が出なかったけれど」
「ま、それも織り込み済みよ。結果が出たらラッキーくらいの気持ちだったでしょ」
「本人は悔しかっただろうけどね」
「悔しがらなかったら駄目よ! でも、一軍を経験したのは良かったでしょ。二軍の成績も踏まえて90点よ!」
「おお、凄い!」
「何せスタートが育成からだったからね」
「2020年は更なる飛躍に期待したいね!」
「まあ、甘い世界じゃないけれど、若手右腕の中では二軍で最も結果を残したわけだしね」
「まずはやっぱり二軍から?」
「そりゃそうでしょ。そうして初めて一軍への切符が手に入り、そのチャンスを活かせるかどうか、よね」
若手ならみな同じであろう。
チャンスは平等にくるものではない。
自分の力でいかにつかみ取るか、だ。
「球に力はあるわけだけど、それだけで一軍に通用するわけじゃあないからね」
「一軍で通用するための何か武器が、だね」
「直球なのか決め球か、制球力か、あるい他の何か。まだまだこれからだから、その辺も見極めたいわよね」
「将来が楽しみな選手が多いと嬉しくなるよね」
「そのうち何人が果たして生き残れるやら・・・・」
「だから、すぐそーゆーこというから!」
だが育成出身ということは、若いからと猶予のある立場でないことは確かだろう。
「あと2,3年を勝負と考えていきたいわね!」
「一軍での先発勝利、楽しみに待っています!」