「うーん、勝てず!」
と、結乃が唸るように言った。
「でも、負けなかったし!」
と、理衣が盛り上げるように言う。
阪神との試合は0-0のまま終了した。
「まあ、投手陣がきっちり抑えられたのは良かったわね」
「このところ大量失点が続いていたもんね」
「先発ローテの逆転奪取に向けて、京山が2イニングとはいえ無失点に抑えたわね」
「本人も、今年は期待されていないから、なんて言っていたけれど、やっぱり期するものはあるよね」
「まだ若いとはいえ、同じような立場の投手は沢山いるからね、どんどんアピールしないと!」
このところ精彩を欠いていただけに、この試合の投球は首脳陣に向けても良かったのではないだろうか。
「続く投手陣も、上茶谷投手が3イニング無失点」
「こっちは、やってもらわないと困る投手だからね」
「しかも、わずか25球!」
2年目は活躍できない、というのを払拭してもらいたい。
「三上もどうかと思ったけれど、まずは無失点で抑えてくれたわね」
「ランナーも出たけれど、戸柱選手が盗塁を刺してアシスト! これは有難いね!」
「うちは捕手が盗塁をなかなか刺せなかっただけに、こういうのは良いわね」
笠井、武藤、伊勢も、三者凡退とはいかなかったが無失点に抑えてくれた。
「投手が抑えれば、打者が抑えられる! 貧打続きね本当に!」
「この日はわずか5安打、だもんね」
「それでも梶谷、宮崎がきっちりヒットをマーク」
「そして神里選手が久しぶりにヒット! それも2安打!」
「期待されて、結果が出なくて悔しいでしょうね。ここからどう巻き返していけるかよ!」
「勝ちきれなかったのは悔しいね、やっぱり」
「8,9回のチャンスで一本が出ればねぇ。阪神戦は駄目か!」
「また、そういうことを・・・・」
結局、苦手はこの練習試合でも払拭できなかった。
「あとは4月24日に向けてどう調整するか、だけど、コロナが拡大してどうなるかしらね」
「日本は頑張って抑えこんでいるけれど、予断を許さないもんね」
「無駄な外出はしない! あたしは連休前に色々と買い込んで、連休は家でだらだらごろごろするわ!」
「うーん、怠惰な生活みたいだけど、今はそれが正解だからね」
「これよりひどくなったら野球も見られなくなるわよ! 皆、耐えるのよ!」
野球に限った話ではない。
こういうときこそ方向性を一つにしていきましょう!