「今回はちゃんとやるわよ!」
のっけから結乃が意気込んでいる。
「選手紹介だね」
「紹介っていうか、個人的な思い出だけどね」
「それで、今回は?」
「投手の方で遠藤、斉藤といったから、打者も主砲をいかないとね」
「と、いうことは?」
「オバQ、田代富雄よ!」
■大洋ホエールズ
横浜大洋ホエールズ (1973 - 1991)
■通算 4961打数 1321安打 打率.266
278本塁打
「ホエールズの大砲といえば田代さんだね!」
「残念ながらタイトルは獲得できていないけれど、それでも和製大砲として活躍してくれたわね」
現役当時、強力なライバルがいたから致し方ないとはいえ、残念である。
「でも、最多三振なら獲得しているわよ!」
「それも、らしいけれどね!」
なお、シーズンの最多三振は三度、記録している。
「田代選手で印象的なのはどうしても引退試合だね」
「まあね、なんといっても満塁ホームランだからね!」
満員の横浜スタジアム。
引退試合で華を持たせてくれたところはあるとはいえ、それでも満塁ホームランで締めてくれたのは嬉しかった。
「選手よりもコーチとしての方が、なんか身近よね」
「今は打撃コーチだもんね」
「昔から若手の有望な野手を育ててくれたからね」
多村、金城、内川、村田、吉村、そして筒香
選手の能力もそうだが、田代の力が大きいのも事実だろう。
誰もが口をそろえて言うのが、田代の人柄である。
指導する立場で、相手から信頼されることがどれだけ重要なことか。
「とにかく現場主義! フロントに入らず、ずっとグラウンドだからね!」
「だから、他の球団でもコーチとして活躍したもんね。それでもこうしてベイスターズに戻ってきてくれて嬉しいね!」
「なんとか次世代の主力を育てて欲しいわね」
伊藤、細川といった大砲候補。
森、田部といった高卒で入った期待の若手。
投手陣は大卒の即戦力をはじめとして若手がどんどん出てきているが、野手がなかなかそうはいっていない。
投手と比較し時間がかかるというのはあるかもしれないが、今より将来を見据えた時に、なんとかしてほしい。
「一軍コーチだから育成じゃないかもだけど、それでも期待しちゃうわよね」
「お願いします!」
「そして、田代が一軍にいるときに優勝を!」
「98年の優勝のときは二軍コーチだったんだよね」
みんな、田代さんに優勝を味わってもらいたいだろ?
だって、こういう人だよ。
「何度読んでも良い記事ね!」
「本当に、田代さんが帰ってきてくれたことを感謝して、恩返ししよう!」