「しっかし、暑いわね!」
結乃が手で仰ぎながら言う。
「今年初の真夏日が出たところも多かったみたいだしね」
理衣も頷く。
本来ならそんな季節にこそ野球!
なのだが。
「なんとか120試合目指して頑張るわよ!」
「緊急事態宣言、解除かな?」
「解除されたとしても、その後が大事だからね!」
「気を緩めすぎないようにしましょう!」
■横浜ベイスターズ (1994 - 2006)
■通算 487打数 115安打 打率.236
「リトル万永くんよ!」
「失礼な呼び方だねぇ」
「小さいことをネタにされていたからね!」
何せ身長は170センチ、野手としてはかなり小さい部類に入る。
「小さいけれど内野のユーティリティとして活躍してくれたわ!」
「チームの縁の下の力持ち的な存在かな?」
「先発ではなく代打、代走、守備固めね。98年の優勝のときも自己最高の成績を残して優勝に貢献したわ」
「チームとしては必要な戦力だよね」
「だからこそ、長年チームに在籍していたのよ」
「内野をどこでも一定レベル以上で守れて、足もそこそこで、打撃も長打はないけれどまったく打てないわけじゃないと」
「ね? 一軍に置いておきたい選手なのよ!」
それこそ万永の魅力であった。
「特に守備には自信を持っていたようだからね、守備で当たり前のプレーが出来なくなったら引退、みたいなことを言っていた気がするわ!」
「うーん、どこかの記事に載っていたかも!?」
「守備に対しては厳しいみたいね。二軍監督でもその辺は鍛えてくれているみたい」
「頼もしいよね!」
スカウト、コーチも経て二軍監督に。
そして今度は、新たに二軍監督となった三浦をサポートする立場に。
球団からも信頼されている証だろう。
「あと万永といえば、宮崎を獲得した功績もあるからね!」
「おお、それは確かに!」
「守備に何のあると言われていた宮崎だけど、打撃の魅力で推したみたいね。それが大成功。コーチとしても指導したしね」
「選手の時も、引退した後も、縁の下の力持ち的な?」
「まあ、球団関係者はみんな、縁の下の力持ちだけどね!」
小さくても、大きい。
そんな万永ではなかろうか。
「体は小さくても、名前は『万』と『永』だからね!」
「関係ない・・・・」