2020年6月21日 広島戦
結果:横浜2-1広島
敢闘選手賞:宮崎、平良、国吉
「ここで打たなかったら、もうどうしようもないわよ」
拳を握りしめ、画面を食い入るように見つめている結乃。
「大丈夫、絶対に、打ってくれるよ!」
そう言いながら両手を組み合わせて祈るように見ている理衣。
その、祈りは。
「打った!」
「抜けたぁっ!」
「ぃやったぁーーーーっ!!!」
ハイタッチを交わす。
ようやく、開幕だ。
「もー、とりあえず何でもいいから勝って良かったわー。開幕3連敗と1勝2敗じゃ全然違うからね」
安堵した結乃がソファに倒れ込む。
心の底からの思いである。
「本当に、まずは1つ勝つことだよね」
中継ぎが崩壊して始まった開幕2連敗。
3戦目も、その流れを引きずったかのように重苦しかった。
広島の先発はルーキーの森下。
初回は先頭の梶谷が出塁するも、乙坂がサードライナーでゲッツー。
2回も2死満塁まで行ったが無得点。
序盤のチャンスを潰すと、それ以降はほぼチャンスがなく。
逆に先発の平良は粘り強く投げていたが内野ゴロの間に1点を失う。
森下は投げるごとに良くなっていき、全く打てる気配もない。
敗色濃厚の試合だが、相手の投手が交代してようやく空気が変わった。
「でも8回、先頭で中井が出塁したけれどこれもゲッツーで、もう駄目か―と思ったわよね」
「あれはキツかったね」
「抑えに出てきたスコットが一番、打ちやすそうだったわね」
「ソト選手から見事な4連打だったね!」
「もっと最初から、そういう打撃を見せなさいよね、全く!」
「やっぱり相手投手なのかねー」
ソトもロペスも右方向に力まず軽打でヒットを放った。
そういうのが初めて見られた気がする。
「無死満塁で宮崎、カウントも1-2とヒッティングカウントとなれば、もう貰ったもんね!」
「こちらも見事な右中間を割るサヨナラタイムリー2塁打!」
「勝てて良かったけれど、打撃陣は昨年から変わらず無策で打つだけって感じだったわね!」
「もう、そこは仕方ない感じかもね」
あの主軸に細かいことを求めても仕方ない、というところだろう。
「褒めるのはむしろこの試合は投手陣! 1失点で踏ん張ったからね!」
「先発の平良投手が6回1失点と、きっちり役割を果たしてくれたね!」
「ランナーを出しても粘ったわね。まあ、出来れば先頭を出すのをもうちょっと抑えてくれればだけど」
「あとを継いだ国吉投手も2回無失点と、初戦の悔しさを晴らしたね!」
「いつも、その投球が出来ればねー」
「まあまあ。パットン投手も抑えて勝利投手!」
投手陣が踏ん張ればどうにかなる。
そう思わせてくれた試合だった。
「それにしても敵ながら森下は良い投手だわね」
「凄かったねー」
「次回以降はきっちり対策できると良いけれど、今日のような投球されるとキッツイわね」
球も速くキレも良い。
会澤のリードも良かったかもだが、厄介な相手が出てきたものである。
「やっぱり中継ぎ、抑えの重要性が分かる3連戦だったわね」
「お互いに、だね」
「そして、あぁ、勝って月曜を迎えられて良かった!」
「気分が全然違うもんね! 気持ち良く勉強や仕事が出来ます!」
「1試合勝ったから、連勝したいわね!」