「2020年ファーム総括の話よ!」
結乃が元気よく言う。
「三浦さんが二軍監督になっての1年だね」
頷きながら理衣が言う。
<2020年ファーム総括> 三浦大輔&万永貴司 「成長の確かな手応え」
「二軍は優勝こそ逃したけれど2位になったからね」
「惜しかったよね!」
「最後の西武3連戦、ここぞというところで連敗するのが、なんからしい感じよね」
「あそこで勝っていたらまだ分からなかったのにね」
「まあ、2ゲーム差ついているから、連勝していても届かなかったんだけど」
「それでもたいしたものだよね!」
二軍は勝利よりも育成としての場が強い。
プレッシャーという点でも一軍とは比べ物にならないだろうが、この結果を出したことは一つの自信になるか。
もちろん、補佐した万永やコーチ陣の力が大きかったのかもしれないが。
「ただ記事を読むと、コーチ陣の意見を聞いて、コミュニケーションを色々とりながらやっていたみたいだからね」
「重要なことだよね!」
「それは、皮肉?」
「ち、違うよ!?」
「2021年、噂されているように三浦が本当に1軍監督になるのか分からないけれど、確実に良い経験の一年だったわよね」
「指導者として確実な成長をしているってことかな」
「まあ、1軍と2軍、まるで違う野球をやっているのは気になるけれど」
2軍はバントと盗塁を多く行っている。
得点より失点の方が10多いが、それでも貯金10を作っている。
接戦を勝ってきている、ということだろうか。
「出場している選手のタイプが1軍、2軍で違うってのはあるんでしょうけれどね」
「ホームランばかり打てるものでもないし、2軍だからこそ、細かいことを出来るようにしておかないと、1軍に上がった時にできないってことでもあるしね」
「いずれにしても監督が変わってどういう選手起用、どういう野球になるのかは楽しみでもあり、怖くもあるわね」
「まだそれを考えるのは早いけれどね」
それでもこうして妄想していられる時が一番楽しいのだろうけれど。