「全集中! 戸の呼吸! の戸柱ね」
調子にのりながら結乃が言う。
「違うけど・・・・」
莉乃は呆れている。
「今年は、柱のついている名前の人はこうなるでしょ!」
「まあ、それは確かにね」
「でも、戸の呼吸って何よ!?」
「こっちのセリフだけど!?」
#10 戸柱 恭孝
出場試合 : 96
打数 : 259
打率 :.212
安打数 : 55
HR : 5
打点 : 23
盗塁 : 0
「18年、19年と出場試合数が減っていた戸柱だけど、20年は主戦捕手としてほぼ一年、出ていたわね」
「正捕手奪取?」
「どうかしらね、伊藤光が干されたのもあったからね・・・・」
「ううう」
この辺はチーム内部でないと分からないところだが。
外から見る限り、ラミレス監督と伊藤光が合わず、結果としてラミレス監督が伊藤光を干したようにも見えた一年。
「もちろん、起用された戸柱は自分に与えられた役割を頑張っていたわよ」
「戸柱選手に罪はないからね」
「とはいえ満足いく結果とはいえないわよ。打撃成績も、かろうじて2割キープだしね」
「もうちょっと欲しいよね」
「四球も少なく、クソボールとか振っちゃうからねー」
「出塁率もあげたいところだよね」
「守備に関しては、うーん、わからん!」
「投げたね」
「フレーミングとか素人がみても分かんないし!」
「そりゃそうかもだけど」
「なので、点数はとりあえず70点ということで」
「適当だ!」
「2021年は三浦に監督が変わって捕手起用がどうなるかもみものね」
「二軍では光さんを見ていたしね」
「現役時代は高城を評価していた部分もあるしね」
「戸柱選手に、嶺井選手。若手では山本選手もそろそろ一軍にもうちょっと出たい?」
「捕手はなかなか大変よね。一軍は2人か3人、どう置くか、ね」
まだ分からないが、TOTALで考えれば伊藤光のレベルが高いとは、素人目に思える。
だが、戸柱だって高評価されている部分もあるのは間違いないわけで。
「いずれにしても、高いレベルで競争してほしいわね」
「うーん、みんなに頑張って欲しいね!」
20年は出場の多かった戸柱も安泰はない。
更なる向上を目指すべし。