「ルーキーの坂本も初勝利をあげたわね」
結乃が淡々とした口調で言う。
「ファンフェスでは、クリスマスコーデで優勝したイケメンだね!」
理衣は嬉しそうに言う。
「ああ、おしゃれ番長ね」
「その言い方じゃ・・・・」
#20 坂本 裕哉
当番試合 : 10
投球回数 : 46
防御率 :5.67
勝利 : 4
敗北 : 1
セーブ : 0
ホールド : 0
奪三振 : 29
「4勝はしたけれど、防御率が示している通りに内容的にはまだまだね!」
「初登板の時は凄かったけれどね」
「その頃は中日が弱かった説もあるけれどね」
「それでも、まぐれでできることじゃないでしょう!」
初登板の試合でベースカバーで足を捻ったからその後は駄目だった、というわけではないだろう。
制球とか、急に甘くなるとか、色々ありそう。
「今永や東のような完成度や威力のある左腕って感じは今のところないからね。これからいかに向上するか」
「それでもルーキーで4勝しているし」
「ドラ2の即戦力左腕よ、期待は高いからね、60点ね」
「厳しい評価!」
とはいえ悪いところばかりではない。
初勝利をあげた試合のように、良いところもあるのは確かで、それをいかに出していけるか。
また、調子の悪い時に凌いでいく投球術というか、そういうのが身に付けられるか。
まだまだ覚えていかないといけないことが多いとは思える。
「意識は高いみたいだから、きっと自分の足りないところを客観的に見て、鍛えるとは思うけれど」
「あれだね、意識青天井!」
「キャンプの時に今永が言っていたことね。あの頃が懐かしいわ・・・・」
「あの頃は想像していなかったね、今シーズンの状況を」
「さて、21年シーズンは先発ローテを争うとこからね」
「左腕は今永投手、東投手がいないから期待はされるよね」
「でも今のところ立場的に良いわけじゃないわよ。キャンプ、オープン戦でどれだけ結果を出せるかね」
「勝負の2年目だね」
左腕王国と言われたが、相次ぐ怪我と故障で、今や右腕の方が期待できる状況となってきた。
そんな中で期待されるところはもちろん大きい。
「20年の結果だけを見れば、ドラ3の伊勢の方が結果を出していたからね。役割が異なるとはいえ、坂本だって負けてなるものかと思って欲しいわね」
「同じ大卒、仲間内で良いライバル意識を持ってほしいね」
「まあ、顔は坂本が圧勝だけれど、プロは結果だからね!」
「その一言、必要?」