「シーズンではヒゲは生やしていない嶺井よ」
顎をさすりながら結乃が言う。
「康晃マイクの時、凄かったねー」
笑ながら理衣が言う。
さて、我らがにぃにぃの成績である。
#39 嶺井 博希
出場試合 : 41
打数 : 55
打率 :.327
安打数 : 18
HR : 0
打点 : 8
盗塁 : 0
「出場は限られていたけれど、出ていた試合では結果を出していたわよね」
「打撃が良かったよね」
「もともと、打撃は良いと思っているんだけどね。あのスイングはちょっとどうかと思う所もあるけれど」
「バット投げは様になっているよね!」
「でも年齢、期待値から考えれば出場数少ないし50点てところね」
「うーん!」
と、打撃では数字を残している。
だが、重要なのは守備、捕手というポジションだけに。
「守備の方は、うーん、よくわからなかったわ」
「まあ、難しいよね」
「例年通りという感じなのかしら? ただ、嶺井はどちらかというと打撃を期待したい捕手ではあるけどね」
「意外性の男! CSの東京ドームの一打は忘れません!」
とはいえ本人は捕手で戦うわけで。
スローイングの弱点は、なんとか克服してもらいたい。良くなったのか?
「気が付けばもう30だからね、捕手のレギュラーは難しいとはいえ、勝ち抜かないとね」
「光さん、戸柱さん、高城さん、ライバルは多いしね」
「誰も突き抜けているわけじゃないだけに、チャンスはあるからね」
「差をつけるとしたら、やっぱり打撃?」
「守備は上手いという感じじゃないから、そうなるでしょうね。でも、リードは他と違う感じするけどね」
「あ、わかる!」
強気のリードというか。
そこでインコースを続けて投げるのか、といったシーンをよく見る。
ただ、しつこく攻め続けて痛打されるシーンも見たりするが。
「それでも、他のキャッチャーとリードで違うっていうのは差別化の意味で悪くはないと思うわよ」
「相手としても、捕手がかわってリードもかわって、でやりにくいかもね」
「まあ結局、何人かの捕手で交代しながらという線が強い気はするけれど、そこに入らないとね」
「第三捕手じゃあ、出番が少ないもんね」
守備位置的に戦力外にはなりづらいが、レギュラーになれなければ出番はあまり得られない。
そういう意味で厳しいポジションである。
「インタビューで盛り上がるし、キャラ的にも美味しいし、活躍を期待しているわよ」
「沢山、お立ち台で喋って欲しいね!」
「でも単独は駄目よ! 通訳がいないとね!」
「ネタだね」