「タイトル通りね!」
結乃が胸を張って偉そうに言う。
「良いニュースがきたと思ったら、これだもんね」
理衣はがっくりとしている。
外国人選手が一人として来日できていなかったベイスターズ。
それがようやく、ソト、オースティンらが来日し、エスコバーも近日中に来日するとのこと。
2週間の隔離が必要だが、その後に合流してまずは2軍で実戦の勘を取り戻したのちに1軍合流。
2人の状態次第だが、はやければ4月後半から1軍の試合に出場というのもありえるかもしれない。
「とはいえ、無理にあげてほしくはないけれどね」
「やっぱりずっと実戦から離れているもんね」
「そんな状態で1軍にあげて結果が出ない方が辛いからね」
「その間、今のいるメンバーで頑張ってもらいたいね!」
外野手でいえば桑原、関根、神里で誰がセンターとして生き残るか。
開幕3連戦では関根が結果を残したが、まだ3試合。
この後の1カ月ほどが重要になる。
「それはショートも同じよ」
「1塁にソト選手が入ると・・・・」
「まあ、牧が今の状態を維持できるなら打てるセカンドとして出したいわよね」
「そうすると残るはショート」
開幕スタメンは柴田だったが、守備で冴えがない。
大和、倉本も、絶対的なものはない。
この辺は、三浦監督の言う通り状態の良い人を使うのだろうが、やはり1カ月でどういう状態になっているか。
「もちろん2塁だって、田中俊太とかが良ければそっち使うかもだしね」
「熾烈!」
「エスコバーがまだなのは気になるけれど、左腕は砂田、池谷に頑張ってもらうしかない」
「皆でカバー!」
「しかし痛いのが平良の抹消ね」
「1試合でいきなりだもんね」
「もちろん、軽いうちにきちんと治療する方が重要だけど、どうしてこう怪我が多いのかしらね!」
「本当にね。。。」
「これで先発で頼りになるのが大貫だけになっちゃったわよ。はぁ」
「でもほら、阪口投手にとってはチャンスなわけで」
「そう思うしかないわね」
ローテは再編するのか。
濱口、京山、阪口のローテでは、常に3連敗のおそれがある。
とはいえ、大貫、入江、上茶谷、の中から誰かをずらしたところで同じわけで。
「あとはロメロね。なんか来日したけれど陽性だったから隔離されているけれど」
「ちょっと不安だね」
「実力的にはロメロが来れば期待できるはずではあるんだけど」
「これも1カ月はかかるだろうからね。
先発を任せるのであれば、2軍で2,3回登板させるともっとかかるかもしれない。
その間は、6人でどれだけ踏ん張れるか。
「いやー、最初から苦しい状況だけど、そんなの分かっていたこと! たいしたことないわ!」
「さすが!」
「昔に比べればはるかにマシよ、マシ!」
「あははー」
思い出すなりこの絶望感。
さりとて、かつての先の見えない暗黒ではない。
いや、たとえ闇しか見えなくてもやることは変わらない。
この球団を好きになってしまったのだもの。