「さあ、開幕21試合を過ぎて3勝15敗3分け、借金12の断トツ最下位よ!」
なぜか元気よく結乃が言う。
「ここまで苦しむとはね・・・」
理衣はため息をついている。
「何言っているの、4月に二桁借金なんて、珍しいことじゃなかったじゃない!」
「いや、嬉々として言われても!」
「とはいえ、ここまでつまずくのはなかなかないわよね。20試合で3勝しかできなかった球団は過去にも殆どないわ!」
「不名誉な記録だね」
「もういっそのこと不名誉な記録を塗り替えまくれば、フロントももう少し本気でやる気になるんじゃない?」
まあ、フロントのことは置いておいても。
数年前から山口、筒香、梶谷、ロペスと主力が球団を去り。
今永、東は怪我、その他の若手も殆ど育っておらず。
投手出身の新人監督で結果を出せという方が厳しいのか。
「戦力に劣る球団はやりくりで戦うしかないけれど、投手出身で新人監督が、そんなやりくりできるとも思わんわよね」
「難しいよね」
「ラミレスはその辺上手くやっていたと思うけれど、だからこそ若手、特に先発投手は育たなかったしね」
「勝利と育成は難しいよね」
「でも、それでも戦っていかなければいけない! 私が言いたいのは打順ね」
「最近、そればかりだね」
「引き分けとはいえ一旦連敗が止まったことで、2番宮崎とか続けないで欲しいわ、あくまで個人的意見としてだけどね」
「なんで?」
「だって、2番牧とか宮崎って、なんの作戦もなく打つだけ任せにしかならないじゃない。三浦がやろうとしていたのはそれじゃないでしょうと」
外国人選手が戻ってきたことで強打者2番が置けるようになった。
連敗中だし、選手達もその戦いに慣れているからという理由なのかもしれないが、それで良いのか?
「何も動けないし、7-9番が自動アウトなのも痛いしね。まあ、打撃能力の高い選手を前から並べて得点可能性を高めるという考えも分からなくはないんだけど」
「それだとキャンプとかオープン戦でやってきた試合と違うよね」
「だから、2番は今の状況だとショート柴田固定でいいじゃない。あと、1番も固定してほしいわ」
コロコロ、選手を変え過ぎだろう。
1.関根(センター)
2.柴田(ショート)
3.牧(セカンド)
4.オースティン(ライト)
5.ソト(ファースト)
6.佐野(レフト)
7.宮崎(サード)
8.捕手
9.投手
「とかじゃ駄目なのかしらね。まー、4番佐野やめなさそうだけど」
「打点3がね・・・」
「牧は3番で好調だったんだから、3番で!」
外国人選手二人については、
・二軍で調整した後に上げる
・スタメン即起用
の二択から、起用しながら調子が上がるのを待つという決断をしたのだから、使い続けるしかない。
これはもうどちらが正解かは分からないのだから、それでいくしかない。
「つか、本当に誰が打順を考えているのかしらね? 何かしらデータとかでやっていると思いたいけれど・・・」
「信じて見守るしか出来ないもんね、私達は」
「まー、問題は先発なんだけどね」
点が取れないのもそうだが、それ以前に投手が我慢しきれないのが問題。
なんとか、大貫で勝っておかないと、また連敗が伸びかねないローテである。
さ、まずは連敗を止めて、そこから上昇ムードにのっていきたい。