「うーん、残念!」
結乃が首を振りながら言う。
「齋藤選手、だね」
理衣も寂しそうである。
社会人出身の即戦力中継ぎとして期待したが、怪我に泣いた一年目。
二年目の2019年、ようやく一軍にあがり、炎上もあったけれど好投もあり、ローテの谷間では先発して5回1失点の好投も見せた。
2020年、オープン戦で好投して、シーズンでは中継ぎの活躍に期待されたが、やはりコンディション不良に襲われて一軍登板なし。
2021年、手術を受けはしたものの、球団の事情もあり退団となった。
「とにかく怪我よね。怪我していないときは良い投球もしていたのに」
「オープン戦の好投で、これは今季は楽しみ! とも思ったのにね」
「本当、残念よね。キャラ的にも」
「勿体ない!」
齋藤が輝いていたのは、ファンにとってみればマウンドよりもファンフェスなどであろう。
一年目、マウンドに立てなかったこともあり、全力で挑んだファンフェスでのひょっこりはん。
それ以外でも、キャンプ中の声出しとか、色々と笑わせてくれた。
「何せ、戦力外を受けてあいさつにきたハマスタで、選手のウォームアップにスーツで混じったくらいだからね」
「あれはびっくりしたねぇ」
苦笑いする。
とにかくキャラクターとしてはもったいなさすぎる。
そういう齋藤の姿を楽しみに見に来ていたファンも多かったのではないだろうか。
「何度も言うけれど、怪我さえなければ中継ぎで活躍できたかもだけど・・・こればっかりは、たらればを言っても仕方ないしね」
「球団としても、この判断は仕方ないよね」
「あとは、お笑いの後継者を育ててくれているかどうかね」
「それ!?」
惜しい選手がいなくなる。
この先どうするのかはまだわからないが、どこに行ってもその明るさで前向きに進んでほしい。