2021年振り返り #19 ある程度の数字は残すも物足りない 山﨑 康晃
「三嶋に続いて難しい山崎ね」
しかつめらしい顔をして結乃が言う。
「頑張ってくれたんだけどね」
理衣も複雑な表情。
さてさて、その成績は。
#19 山﨑 康晃
当番試合 : 60
投球回数 : 55
防御率 :3.27
勝利 : 3
敗北 : 2
セーブ : 1
ホールド : 27
奪三振 : 39
「数字だけ見ると悪いわけではないんだけどね」
「今季は7,8回というところをメインに、ホールドも27挙げているしね」
「安定していたかというと微妙だけど、それでも勝ちパターンの一角として投げてくれていたのは事実」
「全部悪かった20年と比べると瞭然だよね」
とはいえ。
良い時は確かに良かったが、不安定さが消えたわけではなかった。
勝ち試合で投げることが多いから仕方ないが、打たれて敗戦した試合のイメージも強い。
「60試合投げ、ルーキー時代から壊れることなく登板してくれているのはありがたいんだけど、なんともね」
「抑えの時の良い姿がどうしても残っているからね」
「安定感もね。三者凡退のときが少ないイメージはやっぱり拭い去れないわね」
「難しい立場だね」
特別に悪い数字ではない。
が、抑えに配置転換されたときは連続して打たれて失敗した。
その姿を見ても、前に戻ったとは言えないだろう。
「ということで、求めるものも高いし、点数は60点で」
「及第点ということ」
「ほんと、難しいわよね。結果はある程度出しているけれど、打たれた印象が強くイメージが悪いのよね」
誰も、ルーキー時代の鮮烈な姿を思い浮かべるからだろう。
「どちらかというと、今後どうするのかよね。モデルチェンジをするのか、昔を目指すのか」
「やっぱり球種が必要かな?」
「ツーシームが威力抜群なら良いのでしょうけれど、ツーシームを見極められ、150キロくらいの直球ではよほどキレと制球がなければ打たれるし」
「スライダーやカーブとか他の球種とのコンビネーションが必要ってことかぁ」
今までの貢献は間違いない。
だけど一年一年が勝負のプロの世界、常に次を考えねばならない。
「体型のこととかも言われているけれど、本当に何が課題でどうしなければいけないのか、新たな投手コーチと共に取り組んでほしいわね」
「そういう意味ではコーチも変わって別の視点が得られるのはよいかもね」
「キレを取り戻して、康晃がストッパーになってくれるなら、チームには一番なんだけどね」
まあ、それでメジャーに行くなら後釜も必要だから新しい人材の発掘も必要なんだけどね。