「康晃も残留が決まったわね」
落ち着いた口調で結乃が言う。
「これでみんな、残留だね!」
理衣が嬉しそうに言う。
数年前からメジャー挑戦を口にしてきた山崎。
21年、ある程度の数字を残したとはいえ、圧倒したわけではない。
本人もそれはわかっているのだろう。
「とにかく一度原点にかえって、ストレートとツーシームのキレを戻して! あとはできれば他に使える球種が欲しいわね!」
「もう一度、守護神の返り咲きに向けて、だね」
「なんだかんだ最後が康晃の方が盛り上がるしね」
「声を出して応援ができるようになるとよいね」
これまで170セーブ。
チームに大いなる貢献をしてくれたのは間違いない。
抑えが決まらなければ優勝は厳しい。
だからこそもう一度、輝きを取り戻してほしい。
「2022年、ストッパーに返り咲いてセーブ王、200セーブ、リーグ優勝と日本一を達成してメジャー挑戦、これが一番のシナリオね!」
「そうなったら喜んで送り出せるね」
「来季もベイスターズに残ることが決まったんだし、近年の悔しさを野球にぶつけましょう!」
「ファンはみんな、まっています!」
確かに期待を裏切ったりもしたかもしれない。
だけど、それまでの貢献を忘れてただ叩くだけのことをしないように。
「これであとは本当に、オースティンの残留確定情報待ち!」
「何回も言っているね」
「本当に待っているのよ! いつになるのよ!?」
「き、きっと、もうすぐ」
そわそわしちゃうから、早く情報ください。