「この日は引き分け! 負けなかった!」
歯を食いしばって結乃が言う。
「まー、投手陣が踏ん張りましたし」
理衣は頷きながら言う。
横浜を離れて静岡でのオープン戦。
お互いに決め手に欠けたか。
「まー、その中で開幕投手の東がさすが、5回途中無失点と順調ね」
「被安打3で、特に無四球っていうのがいいよね」
「投球そのものは見られなかったけれど、結果だけ見ればいい感じよね」
「このまま開幕まで、ね」
「気になるのは5回途中で降板したことね」
「球数もそんな多くないしね」
63球。
あるいはもとから60球を目途としていたのか。
そこだけが気になるところ。
「伊勢が失点したけれど、健二朗、入江、三嶋は完全投球だったわね!」
「健二朗さんが安定しているよね」
「入江も短いイニングで良い感じだし、このままなら開幕一軍あるかもね」
「昨年の分もぶつけてほしいね」
いずれにしても大敗した試合以外は、投手陣がきっちり抑えられているのは嬉しい所。
「打線はねー、相手のエースクラス相手だとこんなもんなのかしら?」
「則本投手だもんね」
「わずか1安打で5回を乗り切られちゃったから。唯一のチャンスが3回、無死1,2塁だったんだけど」
「桑原選手が併殺打、だね」
どうにも桑原は状態があがってこないし、併殺も多いように感じる。
もともと春先に調子が良いイメージはないが。
オースティンとあわせて、外野レギュラー陣が上がってこない感じだ。
「代わりにアピールが、知野、細川といったところね」
「くらいついていっているよね、二人ともタイムリーを打っています!」
「梶原も、まだ荒い所あるけれど、ヒット打って盗塁してと、頑張っているわよね」
「外野が熱いね!」
前述の桑原、オースティンは数字があがらず、佐野は怪我。神里も全く打てず、大田もこの日は2塁打をうったがまだまだ。
そんな中で、梶原や細川、楠本といったところが数字を残してアピールしている。
昨年1年間の実績というものは大きいが、果たして開幕までにどうなるかも楽しみである。
「でも8回の1死満塁、9回の無死2塁から1死3塁で、いずれも無得点はね・・・」
「こういうところで点が取れるようにキャンプから練習してきているんだけどね」
「相手もあることだし、そうそう上手くいかないとはいえ、うーん、って感じよね」
「ここが取れるともっと上にいけそうだよね!」
うまくいかないところも多々あるだろうが、そこを踏まえて開幕に臨みたいですね。