2022年9月12日 ヤクルト
結果:横浜7-1ヤクルト
敢闘選手賞:今永
「よし、とりあえず勝ったわ!」
結乃が息を吐き出す。
「だけど、なんかいやなかんじなところがあったね」
理衣が悲しそうに言う。
というのも、エスコバーの村上への死球であろう。
「あたしは試合結果しか見られていないんだけど、まあ、これに関して何かいえるのは村上とエスコバーだけだし」
「こちらで勝手に騒いでもね」
「ただ、6点差でエスコバー出すなとか言うけれど、あたしたちは8回表に入って時点で5点リードが、8回表終わったら5点リードされていたっていう記憶がいまだに強く残っているからね!」
「あの、悪夢の5点差が5点差に、試合だね」
「しかもヤクルトにはこれまで5連敗中で、前回の3タテくらったときは滅多打ちにあったしね」
「初戦も負けている中で、この試合は確実に取りに行く、ってね」
「更にこの前のヤクルトvs広島戦! 1イニング12点とか6点とか平気で取っているじゃない!」
「あれを見ちゃうと怖いよね・・・」
もし勝ちパ以外を投げさせるとしたら平田と田中健二郎だろうが、もしそれでバカスカ打たれでもしたらどうするつもりなのか。
別に平田や健二郎を信用していないとか、そういう話ではない。
もしこれが、チームが置かれている状況だったり(2位で1位を追いかけている)、他のチーム相手だったらまた話も違ったかもしれない。
だけど今は、まだ優勝が消えたわけではなく。
この試合は落とせない、だから確実に勝ちに行く、という意思も示したのではないかと思う。
仮に点を取られて追いつかれそうになって康晃を出して逃げ切っても、次の対戦に影響する。
ならば、きっちり勝とうと思うのは当然ではないか。
「ということでそこは置いておいて、さすが今永、中5日だったけれど7回1失点!」
「初戦の大貫投手といい、頼りになります!」
「初回失点はいただけないけれど、その後もランナー出しつつ抑えたしね」
「味方が点を取るまでじっと我慢!」
というか、逆転打を放ったのも今永だったが。
「この日は2打数2安打、送りバント1つと、打席でも完璧だったわね!」
「さすがです、打席で頼りになる投手!」
「野手の方もこれに喚起したか、桑原、楠本も連続タイムリー!」
「一気に5点をとりました!」
「桑原は守備で今日も初回先頭打者からダイビング! 最近、本当に凄いわね!」
「ビッグプレーがチームを勇気づけます!」
その後も牧のタイムリー、そして珍しい大和のホームランと、完勝した。
「あの死球のいざこざがなければね」
「殺伐としたのはいやです!」
「この点差で執拗なイン攻めするか? とか言っているけれど、ヤクルトとはまだ直接対決4試合残しているからね!」
「次のカードに向けても、徹底的に封じておかないと、ってことだよね」
「もしここで打たれて、次のカードで気持ちよく打たれでもしたら、ねえ」
「この2戦、相手の打線は1点ずつに封じたもんね」
諦めていない。
エスコバーと入江を出したのも、最後まで勝負に徹したのも、残り4試合のヤクルト戦を見据えてのことだと思う。
「と、まあ、あたしはそう思わけよ。死球は申し訳ないし謝るしかないけれど、それ以上のことはできないし」
「また次の試合から応援するしかありません!」
そして次はガゼルマンが来日初先発。
「うーん、いけるところまでってことでしょうけれど。第二先発も用意して」
「5回3失点で頑張ってくれたら!」
「むしろ良くてそれくらい? 相手が高橋宏だけに厳しい戦いね」
「好投手だね・・・」
あまり点が取れるとは思えないから、ガゼルマン以下投手陣の踏ん張りにかかっている。
頼むぜ!