「石田が残留を決めたわね」
結乃が腕組みをして重々しく言う。
「チームに残ってくれました!」
理衣が拍手をする。
本人としては色々な思いもあろう。
通算で同じような成績の山崎に多くのオファーが行き、石田にはヤクルトのみ。
FAした年の成績が奮わなかったのはあるが、本人も想定外だったのでは。
「色々と言われているけれど、期限までに決断したなら特に問題はないわけで」
「本人も悩んだだろうしね」
「決断したからには、あとはチームのために全力で頑張ってもらうだけね」
「当然、戦力として期待していますから!」
となるとあとの問題は起用法だろう。
ファン目線で見ても、中継ぎの方が活躍していた。
しかし本人は先発希望。
そこをどうするか。
「2023年の成績じゃあ、やっぱり中継ぎに回ってもらった方が良いと思うけどね」
「短いイニングを全力でね」
「エスコバーもいなくなって、左腕は実績の少ない石川だけだし」
「そこに石田投手が入ると心強いよね!」
上茶谷を先発に回せば、石田は回跨ぎもできるし、セットアッパー的な役割も担える。
バランスも良くなる、と思える。
「あとはチームと本人で決めてもらうしかないけれど」
「私たちは応援するのみです!」
さてさて、どうしますかね?