「2軍の試合がなかなか酷かったわね」
結乃が不満そうな表情で言う。
「育成のところだから、試合結果は置いておいたとしても・・・?」
理衣がおそるおそるいう。
実際に試合結果を見てみると、9回に3失点、さらに10回に4失点と、ここだけで7失点。
4-8で敗戦なので、本当に最後だけである。
「3-1で9回表に登板した中川虎大が3失点か」
「今季は一軍定着を期待されているんだけどね」
「この内容だと厳しいわよねぇ。キャンプの時はそれなりにやっていた気がするんだけど」
「ここから上がってこられるか・・・?」
そういう意味だと宮城も2イニングで1失点している。
二人とも中継ぎで定着を狙っているだけに、こういうところで結果を出したいものだが。
「先発の石田裕太郎は4回無失点。球数は多めだけど、きっちり投げてくれてはいるわね」
「安定しているし、このまま2軍のローテを回していけば、そのうち1軍登板のチャンスも出て来るかもね」
「そういうこと、ルーキーたちに負けているわよ!!」
さらに、10回に登板した高田。
中川が打たれてもしかしたら想定外の登板だったのかもしれないが、かなり悪くなっていると見えた。
「とにかく球速がない! あれじゃあ打たれるでしょ」
「ルーキー時代とかもっと速かったよね?」
「何があったのかしらね。故障はしていたと思うけれど、それにしても」
「確かに、この試合の内容だとなかなか厳しい感じだよね・・・」
打線の方では、東妻と益子がホームランを放ってアピールしている。
外野転向の東妻は、パワー含めた打撃力を見せつけていきたいし、益子も山本や松尾に負けるわけにはいかないだろう。
「あとは井上が2安打と、やっぱり打撃でもルーキーがアピールね」
「2軍で無双するくらいしてほしいね」
「1軍の内野は激戦だけど、2軍では外野手不足でライトを守っていたわね」
「外野も守れることを強みにしたいね」
選手の怪我は辛いが、控えにとってはチャンスでもある。
アピールできるときは遠慮せずアピールしよう!