「筒香の入団記者会見が横浜スタジアムで行われたわ!」
結乃が力強く言う。
「お帰りなさい、筒香選手!」
理衣も拍手して喜ぶ。
あいにくの雨の中ではあったが、球場には多くのファンが駆け付けた。
応援団の演奏する筒香の応援歌、そして歌うファン。
やはりあの応援歌は良い。
「いくつか話も聞けて、NPBに、横浜に戻る決断をした動機も離したわね」
「アメリカでうまくいかず、だからといって日本に戻りたいモチベーションも上がらない中で、湧き上がってきたのは横浜で優勝したい思い!」
「そう言ってくれると嬉しいわよね」
「是非、優勝しましょう!」
もちろん、もしかしたら他にも色々とあったのかもしれない。
プロである以上、契約条件も重要だし、出場機会だって大切だ。
だが記者会見の場で口にしたのは横浜で優勝したいという思い。
それ以上でも以下でもないだろう。
「さらに、ポジションは奪うものだって自ら口にしたしね」
「そうだよね、与えられるものではないもんね」
「そこは筒香だってわかっているし、プライドもあるでしょうからね」
「実力で文句言わさず、ポジションを獲得してほしいね」
もしかしたらこの辺もSNS等で耳に入っていたのかもしれない。
期待の若手とかならともかく、30過ぎたベテランだけに、ポジションは与えてもらうものではない。
そこはきっちり力を示してもらいたい。
「まー、色々と言われるのは仕方ないわよね。メジャーでよい結果を残せたとは言えないし」
「でも本人もそれを受け止めたうえで、横浜で新たにスタートを切るわけだからね」
「どこまで今のNPBで通用するかはやってみないと分からないけれど、野球に対する姿勢とか、そういうの含めての期待もあるからね」
「チームを引き締める役割もしてほしいね」
宮崎はそういうタイプではないし、他のベテランは移籍者が多い。
メジャーに言っていたとはいえ横浜生え抜きの筒香には、勢いや楽しいだけではない厳しさも伝えて欲しい。
「今のチーム状況もよくないしね。そこにいきなり入るかは別としても、ね」
「果たしていつ頃1軍に合流するかな」
「2軍の試合に出て状態を見ないとね。見切り発車で結果出なくて叩かれるのも嫌よね」
「良い判断をしてほしいね」
あとは上がってきたときの一軍がどういう陣容でどういう状態か。
その中で三浦監督含む首脳陣がどう起用するか。
注目していきたい。
「何はともあれ、筒香はDeNAとなってからの横浜の希望でありシンボルだったんだからね、問答無用で歓迎するわよ!」
「また、あの華麗なアーチを幾つも見せて欲しいね!」
頼むぜ、筒香!