「日本シリーズではソフトバンクが横浜を圧倒する、4連勝で終わるという声が多いわね」
結乃が落ち着いた口調で言う。
「うう、悔しいけれど、仕方ない部分ではあるね」
理衣が歯噛みしながら言う。
何せパリーグで貯金42も作ってぶっちぎりの優勝を果たしている。
対する横浜は貯金僅か2でセリーグ3位。ゲーム差にして20。
日本シリーズ史上、最大のゲーム差対決となる(なお、2番目は2017年の横浜とソフトバンク)
「確かにソフトバンクは強いわ。だけど、それで終わらせるわけにはいかないわ」
「こちらにも意地があります!」
「それに、思うところもあるのよね」
「というと?」
「かつてパリーグがセリーグを圧倒していたけれど、その時ほどのものはないと思うのよね」
「ほうほう?」
かつてはドラフトのクジなどもあり、好投手がパリーグに集中していた。
ダルビッシュ、田中、大谷を始めとして、則本、涌井、金子などもいた。
そしてもちろん、最近では山本由伸。
パワーピッチャーも多く、それと対戦することで打者も鍛えられた。
しかし近年、そういった投手はほぼいなくなり、山本も今季よりいない。
パリーグ投手のレベルは以前と比べて落ちているのではないか、とみている。
「ジャクソン、ケイのような威力のある直球をなげる先発は、今パリーグにはいないと思うのよね」
「うーん、なるほど。佐々木投手とかはいるけれどね」
「まあね。でも左腕でケイのようなパワーピッチャーはいないでしょ。だからその辺、期待もっているのよね」
「なるほど」
もちろん、それでもソフトバンク打線は強力だ。
だが3割超えはパリーグ全体でも近藤一人。
投高打低のシーズンではあったが、打率はみな.280未満。
長打率は山川よりもオースティン、牧の方が高い。
もちろん、数字以上に、いつ、どういう場面で打つかが大事ではあるのだが。
「要は、必要以上に怖がる必要はないってことよ!」
「なるほどー」
「投手の個人名を見ても、セでは高橋、菅野、才木といったところを相手どってきたわけだし」
「抑えられもしたけどね・・・」
「そういう投手達がパの投手と遜色あるとは思わないってことよ!」
「確かに、技巧派の投手が多くなっている感じはするね」
ソフトバンクの先発陣をみてみると。
有原、モイネロ、スチュワート、大関、石川、大津。
モイネロやスチュワートは確かにキツイと思うが、他の投手はどうにかできるのではないか、そう思えてもくる。
「パリーグにいないタイプのジャクソンとケイ、大貫は正統派だけど制球さえ間違えなければ。そしてやっぱパにいないタイプの濱口」
「濱口投手はCSファイナルで好投を見せてくれたのが好材料だね」
「中継ぎが弱い点は変わらないとしても、でも弱すぎるってことはないと思うし」
「そこは全員でカバーだね!」
ソフトバンクもソフトバンクファンも、戦力に差がありすぎる、話にならない。
そんな風に思っている人が多いように見えるが、それを打ち返すような試合を見せて欲しいですね。