「2連敗のあと3連勝で横浜に戻って来たわね」
落ち着いた口調で結乃が言う。
「王手をかけたけれど、全くリードしている気がしないね」
理衣も冷静に言う。
それはそうだ、何せ初戦、2戦目と抑えられた相手の二枚看板、有原、モイネロが中6日の万全の状態で待ち構えているのだから。
一方こちらは2戦目で打ち込まれた大貫。
雨で状態が良くなかったとはいえ、相手も良いイメージをもっているだろう。
「とはいえ雨天中止の可能性が高い。仮に中止で順延となった場合に先発で誰が投げるか、よね」
「一応、中4日で東投手、ケイ投手が投げられるけれど」
「故障明けの東に中4日で無理させるのか、よね。やっぱ中5日で最終戦かしらね」
「6戦は大貫投手がそのままスライド?」
その可能性の方が高い気はする。
大貫、状況によって早々に濱口を投入したブルペンデー。
2試合なので、中継ぎ陣を投入できる。
「最終戦に行く場合、ケイを中継ぎ待機させるかよね」
「あの好投をみると期待はしちゃうね」
「ただ、立ちあがりが課題だから中継ぎは怖い気もするわね。もともと中継ぎも先発もできるけど、今季はずっと先発だったし」
「確かに、先発の人が中継ぎやれば上手くいくってもんでもないしね」
それなら中3日でジャクソン中継ぎの方がまだ抑えてくれそうだが、これも無茶があるか。
このポストシーズンで結果を出している中継ぎ陣に任せる形か。
「そしてDHが使えない中、怪我しているオースティンが守備につけるかどうかね」
「そこは大きいよね!」
「守備につけるなら打順は大きく変える必要ないわよね」
「レフトの佐野選手か筒香選手か、くらいだね」
1.桑原(センター)
2.梶原(ライト)
3.牧(セカンド)
4.オースティン(ファースト)
5.宮崎(サード
6.筒香(佐野)(レフト)
7.戸柱(キャッチャー)
8.森(ショート)
オースティンが通常ならこんな感じか。
オースティンが無理なら、オースティンの位置にフォードを入れる感じか。
あるいは筒香を3番、4番牧、5番フォード、という可能性もあるか。
「残り2試合、有原とモイネロのどちらかに勝てれば良い、なんて考えていたらどっちも勝てないわよ!」
「相手も後がなくなってなりふり構わず捨て身でくるだろうしね」
「目の前の1試合に負けたらもう終わり、その気持ちでぶつかって初めてソフトバンクを上回れるかどうかよ!」
「本当にそうだよね、相手は最強王者のソフトバンクさん、何がどうなるか分からないです」
野球というのはその前までの試合でどんなに流れが悪くても、たった一人のエースが相手を抑え込めば勝てるスポーツでもある。
それで一気に流れが変わることも短期決戦ならありえるのだ。
「対戦2回目の有原をどうにか攻略、あるいは球数投げさせてはやめに交代させないと」
「そのためには投手陣が粘り強く、抑えていかないとね」
「先発を使い切ったこちら的に苦しいけれど、もうそこは全員でやっていくしかないわよね」
「あと2試合、絞り出していきましょう!」
流れは横浜にあるが、そういうものを過去に何度も断ち切ってきたソフトバンク。
このままいけるか、ソフトバンクが盛り返すのか。
ドキドキしつつ楽しみにしていきましょう!