「三嶋の来季構想外が発表されたわね」
結乃がトーンを落として言う。
「寂しいね」
理衣も肩を落とす。
黄色靱帯(じんたい)骨化症の難病から復帰は果たすも、以前のような結果を残せなかった。
速球はある程度のスピードが出るものの、それだけでは通用しないか。
「2軍で頑張って、一軍昇格も果たしたけれど、その時に数字を残せなかったからね」
「ある程度予測できていたかもだけれど、やっぱりちょっと、ね」
「森唯斗も引退を発表したし、ベテラン投手がいなくなるわね」
「誰が一番年上になるんだろうね」
DeNAになってから初めてのドラフトで2位入団。
浮き上がるような速球とスライダーが持ち味で、一時は底に落ちたけれども這い上がってきた。
先発から敗戦処理、中継ぎ、抑えと、様々なところで腕を振ってきた。
それでも、結果が出なければ切られる世界。
「キャンプの時に見る守備練習とか本当に上手いのよね」
「足も速いしね」
「本人としてはまだ燃え尽きていないし、やれるだけの気力も体力、そして自信もあるみたいだから、オファーを待つみたい」
「現役続行できるといいね」
35歳という年齢を考えても、NPBでの現役続行は厳しいかもしれない。
それでも本人がまだヤル気なら頑張ってもらいたい。
横浜で終わって欲しい、なんていうのは単にこちらの我がままなのだから。
「横須賀で最後の登板があったみたいね」
「一軍の試合で登板できないのが残念だけど」
「引退ってわけじゃないしね」
「どこであっても頑張ってください!」
まだはやいけれど、今までありがとう、三嶋!