「CSで適用された席割、とりあえず2026年シーズンの適用はなくなったみたいね」
結乃が腰に手を当てて言う。
「ビジター応援席をレフトウィング席にしたやつだね」
理衣も頷きながら言う。
とかく話題になった件。
他球団ファンから総スカンにされ、横浜ファンからも不評の声が圧倒的にあり、選手からも疑問の声が出ていたともいう。
その多くの声が球団に届いたということだろう。
「他の球団も同じようなところあるじゃん、みたいな声もあったけれど」
「他の球場は、ビジター応援席以外でもビジターユニフォーム着て応援はできるんだよね」
「ビジター応援席以外は横浜応援席、みたいな作りはイマイチよね」
「ちゃんと相手球団、ファンもリスペクトしていかないとね」
3塁側、レフト側に横浜応援席を作るのも別に良いが。
混在してゆるゆると観戦する層がいてもよいではないか。
色々なジャンルで、そのジャンルを衰退させるのはマニアックな層。
新規やライトファンの参入を阻んだ時点から衰退は始まるのだ。
「横浜のファンで埋め尽くしたいという気持ちも分からなくはないけれど」
「それを球団主導で、席を完全指定してしまうのはちょっとね」
それだと、逆にこれからファンになろうかという人、とりあえず行ってみようかなという人が行きづらくなる。
熱烈に応援したい人もいれば、ゆる~く応援したい人も、野球はよくしらないけれど楽しそうだから行ってみようかという人もいる。
今まで、そういうスタンスだから観客が増えてきたのではないか。
「あとは高い席料金をなんとかしてほしいわね」
「それは・・・なんともだね」