■2018年3月3日 横浜DeNAベイスターズvsオリックスバファローズ
「オープン戦もこれで3試合目か」
「調子はどう?」
「始まったばかりだし、まだなんともだけど、一つだけ言いたいことはある」
「え、何々?」
麦茶を飲みながらキッチンからリビングに入ってきた夕に対し、順は新聞をテーブルの上に置いてからおもむろに言った。
「負けるのは構わないけれど、タイムリーを打て!」
拳でテーブルを叩く。
この2試合、勝ちと負けで1勝1敗なのは良いとして、その得点がエラーと押し出しとホームラン、タイムリーヒットがないのだ。
ソト、佐野、乙坂、楠本といったフレッシュな面々が打ってくれるのは嬉しいが、ホームランばかりではちょっと、という感じがする。もちろん、主力の面々はこれから開幕にあわせていくため、まだ調整段階だというのは理解しているが。
「まあ、昔から点を取るのが下手くそなチームではあったけど」
ヒットを打っている割には点が取れない、それが横浜というチームだ。
「さすがにそろそろタイムリーを見たいな」
さて、そんな順の願いは果たして叶ったのか――?
結果を見てみれば、待望のタイムリーが出た。
出たのだが。
「あー、なんかやっぱり、横浜だったって感じの試合だったなあ」
試合を観終えて順は大きくため息をついた。
「タイムリーも出たんじゃないの?」
「出たけどさ……」
先発のバリオスは初回からいきなり3失点。2回以降は立ち直ったとはいえ、アピールが必要な身としては成功したとはいえないだろう。後を継いだ東、笠井、三嶋、エスコバーは無失点に抑えたからまずまずだろう。特にドラ1の東は初登板、球数が多かったが初めてということを考えれば悪くない滑り出しだろう。
そして打線。
タイムリーこそ出たものの、12安打で3点という拙攻。
「あー、なるほどね。安定の初回失点に、効率の悪い攻撃。なんだ、いつものことじゃん」
「いつものことだけど、それで納得してしまうのが情けない!」
勝敗度外視の時期ゆえに内容を重視したいのだが、その内容がこのありさまというのはどうなのだろうか。
ついでに言えばエラーも結構多い気がするし、バントも失敗していないだろうか。ラミレス監督の掲げるスモールベースボールは現時点で前途多難だと思わざるをえない。
「ま、これから上向く目があると考えれば良いとしよう!」
「出た、根拠不明のポジティブ思考!」
3月3日の試合結果
△オリックス 3-3 △DeNA