■2018年3月14日 横浜DeNAベイスターズvs楽天イーグルス
なんとも悩ましい、しかしもって嬉しいことだと大友結乃は感慨深く思った。
何がといえば、応援するベイスターズの激しい選手間の競争である。
特に今は外野が熱い!
筒香、桑原、梶谷でよほどのことがない限り動くことはないだろうと思われていたが、桑原がオープン戦でも不調、梶谷は怪我で出遅れているし昨年も安定感はなかった。
そんな中で、ルーキーの楠本が打撃絶好調でアピール。二年目の佐野も同様に打っており、二人とも打率は5割前後である。
内野手のバックアップ要員だと思われていたソトもまたコンスタントに打ち、その打撃を活かすためか外野での出場も増えている。そこに加えてルーキーの神里が守備と走塁で輝きを見せている。
四者四様の特徴を見せ、今まで外野のバックアップでレギュラーを争っていたはずの乙坂、関根がくすんでしまうくらいだ。
「それでも、あたしの一押しは梶谷なのよ! ホームラン20本打てて20盗塁できる選手、そうそういないわよ。ハマった時のあの飛距離は凄いもの。ああ、ここにも一人、スーパー梶谷の再来を待つ少女が」
「一人で何を言っているのよ結乃。私はね、熊原選手が好投したから嬉しいな」
「何よ、イケメン好きなの。それとも何、理衣ちゃん、自分の方がよほど格好いいとか思っているんじゃないでしょうね」
「そんなわけ、ないじゃない」
「でも、なんで熊原はいつも帽子が曲がっているのかしら」
「……お茶目?」
色々とマネしやすいことは確かだが、そんなことで話題になるのではなくピッチングの方で是非、注目を集めて欲しい。今のところオープン戦では良い結果を残しており、このまま続けていけば開幕時点でローテーションに残る可能性もあるかもしれない。
「中継ぎが笠井以外が皆、失点しているっていうのは気になるけどね。まあ、三嶋の場合は残したランナーをエスコバーに返されちゃったってのもあるけれど。それにしてもエスコバーが悪いとなると、本当にソトを開幕に残す手もあるわよね。ウィーランドの先発を開幕三連戦からずらせば、その間は少なくとも出場させられるし」
「みんなが出られると良いんだけどね」
「甘いわ、競争社会よ!」
そう言いつつ、もちろん結乃だって辛いのだ。
外野で言っても、下園、啓二朗が戦力外となり、荒波も厳しい立場に立たされている。実力社会だし、仕方ないといえば仕方ないのだが。
野球を観始めて日の浅い理衣ですらそうなのだから、昔から応援している結乃はさらに辛いことだろう。
「……気を取り直して。今日の試合で一番良かったことは?」
雰囲気を変えるべく、そう言った理衣に対して。
結乃は目を輝かせて答えた。
「直人が打ったことかな!」
ちなみに、14日の結果でオープン戦首位に立ったことには気づいていない二人だった。
3月14日の試合結果
●イーグルス 4-6 ○DeNA
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