2018年シーズン振り返り 守備編
「さあ、今回は『守備編』よ!」
「前回の『攻撃編』は惨憺たる結果だったよね」
気合の入っている結乃に対し、理衣は不安そうだ。
そして百合子は表情を変えずにPCを見つめている。
「さあ百合子ちゃん、どうかしら!?」
「覚悟は良いですか?」
「そ、そういうこと言わないでよっ」
「では、2018年のデータは以下の通りです」
■防御律 : 4.18(リーグ5位)
■QS率 : 31.47%(リーグ6位)
■失点 : 642(リーグ3位)
■被安打 :1264(リーグ4位)
■被本塁打 : 149(リーグ5位タイ)
■与四死球 : 591(リーグ5位)
■暴投 : 36(リーグ3位)
■ホールド : 136(リーグ1位)
■守備率 :.987(リーグ3位)
■失策 : 69(リーグ3位)
■捕逸 : 7(リーグ2位タイ)
「……なんというか、微妙な数字が並んでいるわね」
「そ、そうだね、圧倒的に悪いって感じでもないもんね」
結乃と理衣もどう評して良いか困惑しているようだった。
「特筆すべきはQS率ですね。これはヒドイですよ」
冷静に指摘するのは百合子。
「そんなにひどいの?」
「ええ、酷すぎます。5位のチームが40.56%。パリーグ最下位チームで45.45%。実に10%くらい差が開いているわけです」
「た、確かに、それは酷いわね」
「先発で期待された投手たちが軒並み総崩れだったもんねぇ」
ため息を吐き出す理衣。
今永、石田、濱口、ウィーランド。彼らが殆ど働けなかったのだ、頷けるというものである。
「また、ホールド数が断トツですね。2位のチームのホールド数が100ですから」
「いかに中継ぎ陣頼りだったかってことね」
パットン、三上、砂田、三嶋。
彼らが支えていたのである。
「あとはそうですねぇ、得失点差でしょうか。失点自体は3位ですが、得失点差を見るとビリです」
「得点が少なかったものねぇ。負ける時は大敗、勝つ時は僅差を中継ぎ陣で守り抜く、そういう試合が多かったのは確かよね」
「そして完投は最少の2です」
「そのうち1つは降雨コールド完投でしょ? 実質、東の1完投か・・・・」
「こうして1年を振り返ってみると、打線はHRでしか得点できない効率悪い攻撃。守備は先発投手が早々に降りる状況。うーん、確かにこれでよく最下位じゃないわね!」
「数字的にはかなりよろしくない、ってことだねぇ」
「東と中継ぎ、救援陣で4位に食い込んだという感じでしょうかね」
「2019年は、先発が頑張れ! ってことね」
とはいっても簡単なことではない。
二年目となる東が相手チームにも研究される中、どれだけ成績を残せるか。
復活のめどが立たない今永。
やや復活しつつある濱口、そして石田も実績はなくなったも同然。
更に中継ぎ陣の疲労が心配でもある。
「攻撃的布陣を敷くとソトが2塁になるでしょうし、センターラインをどう固定、安定化させるか、もね」
「ただ、捕手に関しては伊藤選手がキャンプから参加するので、投手陣の事、セリーグの他チームのことを知れば、プラス要因にはなるかもしれません」
「確かにね、キャッチャーとしてのレベルは間違いなく高いものをもっているし」
「何よりイケメンだしね!」
「理衣ちゃんはそれを言うと思ったわよ・・・・」
2018年は守備も色々と悪いイメージはある。
大和は慣れもあるかもしれないが、重要なところでのエラー。
宮崎は2017と比べて随分と雑になったように感じるし、ロペスは怪我と年齢もアリ守備範囲は広くない。
「相手に余計な点を与えないように、守備も引き締めて!」
「守備で魅せてくれるのって格好良いもんね」
ベイスボールはもうごめんだ。
引き締めていってくれ。
そして先発投手陣は目に物みせてくれ。