2019年新戦力 #60 目指せトリプル3 知野 直人
「ドラフト6位は、BCリーグからの入団、知野直人選手!」
名鑑を見ながら言う理衣。
「走攻守の揃った内野手、という売りこみね」
こちらもまた名鑑を見ながら言う結乃。
二人ともよく知らなかったのだ。
「高校で一度野球をやめたけれど、やっぱりやめきれずBCリーグに入団したってのもなんか凄いね」
「そこで結果を残してドラフトにかかるのもまた凄いけどね」
それだけの力を持っていたということなのだろう。
「特に、盗塁数と出塁率が良いよね」
「今までのベイスターズに足りない部分を補いにいっているわよね、近年のドラフトは。当たり前だけど」
当たり前の事が当たり前に出来ていなかった、というか結果が出ていなかったゆえに酷い有り様になった過去。
それを考えれば、本当によくなっているドラフト戦略。
狙うだけでなく、狙う選手もきちんと調査をしているのだ。
「19歳っていう若さも魅力よね。まだまだ、これから更に伸びる将来性が楽しみよ!」
「将来的にはトリプルスリーも狙っているとかいないとか?」
「狙うのは自由なんだから、いくらでも狙うのが良いわ」
「目標は高く持った方がよいってことだね」
「無謀な目標だとちょっとどうかとは思うけど。そう考えると、今はまだ夢かもしれないわね」
それでも、BCリーグでもそれなりに本塁打数も増え、パンチ力があるのも事実である。
「ドラフト5位の益子選手と同様、お母さんが女手一つで育ててくれたんだってね」
「そういう選手は何が何でも成功してやる、という気持ちも強いでしょうからね」
「是非、親孝行というか、恩返しできる活躍が出来ると良いね」
「プロに入った時点である程度は出来ているでしょうけれど、ここが終わりじゃないからね!」
「トリプルスリーを狙えるショートなんて、いたらいわよねー」
「是非、知野選手になってもらおうよ」
「そうすれば打てるセカンドの伊藤、打てる捕手の益子と、一気に弱点が埋まるわね!」
「何年後になるの、って話だけどね」
夢を話す分には誰にも迷惑をかけないし、楽しい未来を描くことが出来る。
かつてはそれすら空しい響きであったが、今のベイスターズなら実現できるのではとも思わせてくれる。
「2~3年後には一軍で活躍する姿を見られると嬉しいわね」
「そういう選手ばかりだね。ショートだと大河選手がライバル?」
「一人の選手だけに期待するわけにはいかないし、仕方ないわよね。力で周囲を納得させることよ」
ライバルが誰であろうと、皆が認める結果を残せば良いのだ。
トリプルスリーのショート、期待してよいのかな、知野?