2019年4月20日 広島戦
結果:横浜2-9広島
敢闘選手賞:神里
「クソ打線は変わらないけれど、クソチームになったかしら?」
「ちょ、ちょっと結乃、女の子がそんな言葉・・・・」
「言いたくもなるでしょ、こんな試合、見せられたら!」
やってられん、とばかりに被っていた帽子をねじねじする結乃。
帽子に罪はない。
「先発の井納が4回にいきなり崩れて7失点、ここで勝負ありだけど、問題は3回の攻撃よね!」
結乃がやり玉に挙げたのはやはり野手陣であった。
「ノーアウト1,2塁で、2,3,4番がランナーを進めることも出来ず連続三振って、やる気あるの!?」
「やる気はあっても、結果が出なかったってことだよね」
「送りバント、決められないんかーい!」
捻じっていた帽子を床にたたきつけて怒りを表す結乃。
「筒香も、打つなら3回でしょうが! ソロHR2本打ったってしょーもない!」
「打たないよりは良いけど」
「打たなかったら完封負けよ!」
野手のヒットは結局、筒香のこの2HRと神里の3安打だけ。あとは井納である。
「あーもう、これだったら素直に京山を先発させときゃ良かったじゃない、無理に中5日とかじゃなくて」
「GWの連戦を見据えてのこと、だよね。あと濱口投手がいないというのも」
「そうだけど、これで3戦目は国吉でしょ、もう3連敗じゃーん」
完全にふてくされてしまっている結乃。
「決まっていないよ、国吉投手、好投するかもよ!」
「とはいえ、どんだけ好投しても、今はソロHRしか点が入らないから、ソロHRが5,6発出れば勝てるかもだけどー」
「ああ、やさぐれちゃって・・・・」
理衣としてもなかなか手の施しようがなく困る。
「これで広島を調子に乗せたらどうしようもないわ」
「やられたら、やり返そう!」
「やり返す力がねー」
うだうだと言う結乃。
「・・・・結乃、いい加減にして!!」
「うわぁっ!?」
いきなり大声を出した理衣に、結乃が驚いて目を丸くしている。
「そりゃあ、がっかりするのも分かるし、チーム状態が悪いのも分かるけれど、だからってそんな態度じゃあだめだよ!」
「り、理衣ちゃん・・・・」
「辛いけれど、私達は応援するしかないんだから、ね」
「・・・・・」
「結乃、ほら、負けずに、立ち上がろう!」
理衣の手が、結乃の手を握る。
「・・・・・そうね、理衣ちゃんの言う通りね」
すると、結乃もゆっくりと顔をあげた。
床に落ちていた帽子を拾い上げ、ねじねじを元に戻す。
「私がこんな姿を見せたんじゃあ、選手もやる気が出ないってもんよね!」
「? そ、そう、だね?」
「あたしみたいな可愛い女の子を落ち込ませているんじゃないわよ、ねえっ!?」
「そう、だね。え、え?」
身勝手な結乃理論に困惑する理衣。
まあ、いつものことだが。
「それに、この程度のこと、昔は当たり前って言うかもっとひどかったもんね! そうよ、それを考えればこれくらい!」
「またそういう自虐を・・・・」
とはいえ、落ちこんでいても試合はやってくる。
悔しかったらやり返してくれ、ベイスターズ!