2019年5月15日 中日戦
結果:横浜8-2中日
敢闘選手賞:東、相川(七瀬)
「夢見る少女でいたーい!!!」
絶叫する結乃。
隣でびくっと驚く理衣。
「ど、どうしたの、急に」
「まだ5月、まだまだ優勝を夢みていたいのよ」
「ああ、そういう」
「かつての弱小時代は本当に夢でしかなかったけれどね」
「自虐!!」
「とまあ、それはおいておいて、まさかの勝利よ!」
勝ったのに結乃はびっくりしている。
「喜ぼうよ、ロペス選手、伊藤選手、宮崎選手にホームラン! が出て快勝だよ」
「点の取り方がベイスターズよね。結局、一発頼りで」
「まあ、そうだけど」
細かい野球は出来ず、大味な攻撃。長打が出れば得点になるというわけだ。
「主力がそういう選手ばかりだから、もうこれでいくしかないんでしょうね今季は。それでも、宮崎、ロペスに当たりが出てきたから、まだ期待が出来そうになってはきたけれどね」
「あたりが出れば、一発が怖い打線だもんね!」
「ゲッツーの恐れは消えないし、調子が落ちたらまたもとに戻るのでしょうけれどね」
ネガティブにも聞こえるが、開幕して一か月半の不調を見ればそれも致し方あるまい。
「でも今日は打線だけじゃなくて、投手だって! 東投手が6回1失点で復活の1勝目!」
「まー、それは素直に良かったと思いましょう。三振が2つと少ないからまだなのかなという気もするけれど」
「これで濱口投手が戻ってくれば、左の3人に、安定しているルーキーの大貫投手、そして勝ち星はまだだけどまずまずのピッチングをしてくれている上茶谷投手と、先発もしっかりしそう!」
「期待先行だけどねー」
「もー、またそういうことを言うんだかぁ」
理衣が頬を膨らませるが、昨年から何度も期待しては裏切られているのだ、そうそう甘い夢想ばかりしていられない。
中継ぎ陣の不安もまだ払拭されたわけではない。
「それでも、こうして勝てたのは大きいわ! なんだかんだ、勝つことが一番の薬なのよね!」
「雰囲気もよくなるしね」
采配だ選手起用だ色々と言われるが、選手が頑張って打って、抑えて、勝ってしまえばよいのだ。
「と、いうことでー!」
「いうことで?」
「相川七瀬、昔と変わっていない感じだったわね!」
「え、リアルタイム知っているの?」
「1曲目が『恋心』、2曲目が『夢見る少女じゃいられない』、盛り上がったわね! 最後まで残ってくれた中日ファンの皆さんもありがとう!」
「楽しかったね! 野球も快勝して、相川さんのライブが楽しめるなんて、とってもお得な試合だったね!」
そして相川七瀬が横浜ファンということも!
「さー、このまま3戦目は大貫、前回は中継ぎ、守備陣がやらかして勝ちを消したから、今度は援護しなさいよ!」
「大貫投手、安定しているというか、ピンチでも落ち着いているよね」
「3勝目、そして新人王目指していくわよ!」
「おー!」
現金なもので、快勝するとこうして元気になる。
まあそれが、ファンというものだろう。
「まだまだ、夢見る少女でいるからねー!!!」