「前半戦を振り返ってみましょう、<野手編>よ!」
結乃が口にしたのは恒例的なことである。
「オールスター休みだから、公式試合もないしね」
理衣も慣れた様子で言う。
「さて、ということで野手だけど、MVPはなしね!」
「えぇ・・・・いきなりそれ?」
「だって、相変わらず得点能力低くていやんなっちゃうし、見ていてストレス溜まるじゃない!」
足が使えない、小技が使えない、だから得点効率が悪い。
2018年からの欠点は、改善されていないのだ。
「まあ、中心となる、いわゆる【ビッグ4】が変わらないから、攻撃も変わりようがないかもだけど」
ソト、ロペス、筒香、宮崎。
鈍足カルテットである。
「この4人は長打じゃない限り各駅停車だからね、そりゃ得点できないのは昨年で分かっていたわけで」
「春先はみんな、調子がイマイチだったもんね」
「特に宮崎は酷かったからね」
1割台で低迷していた4月の宮崎。
ロペスやソトも打撃はあがらず、10連敗にもつながっている。
「そんな状況を救ったのが、光、大和の下位打線!」
「渋い活躍だったよね!」
「光は簡単にアウトになるか、っていう粘りを見せてくれるのがいいわよね!」
「凡打になっても、球数を稼いでくれていたね」
チームに、粘れるバッターがいないだけに貴重であった。
また、捕手としても他の捕手の打撃がさっぱりなだけに、十分すぎるほどの活躍を見せてくれていると言っていいだろう。
「HRも既にキャリアハイの8本! 打てる捕手、いいわね!」
「イケメンだしね!」
FAの資格を取得したが、球団は誠意ある対応を見せて欲しい。
「そして、得点圏打率がチームトップの大和!」
「サヨナラ打も2回! ランナーいると期待しちゃうよね!」
「打撃もそうだし、やっぱり守備でも色々と助けられているわよね!」
「連敗中はトップバッターとしても活躍してくれたね!」
打率は高くなくても、守備と、勝負強さで数字以上の貢献度である。
「そして、代打なんかで活躍の佐野、乙坂! 今年はいいわよね!」
「佐野選手は、シーズン当初は代打で凄かったもんね!」
「打点をどんどん伸ばしてね。乙坂も、今年は打席での粘りとか、良い感じよ!」
「左の代打はこの二人がいると思うと、頼もしいよね!」
「期待に応えられなかったのが桑原、梶谷ね。でも、後半に巻き返してくれると信じたいわ!」
「ファンは待っています!」
「そんなとこかしら?」
「あれ、神里選手は? オールスターにも選ばれたし」
「神里は守備が下手すぎるからダメ」
「雑・・・・」
「そう、守備が雑すぎ! 追いついた打球を何度落とせば気が済むのよ!?」
「あうぅ」
見ている方が萎えるから、本気で上達してほしい。
「あとはそうね、打順とか、スタメンとか、変え過ぎじゃない? せっかく勝ったのに、次の試合で簡単にスタメンや打順を変更して。左右に拘りすぎの気が」
「打者としてはリズムが狂うのかな」
「交流戦からチームのリズムがよくなってきたのに、最後のヤクルト3連戦ではなんかイマイチだったわ!」
「2番には乙坂選手とか良いカモね!」
「1,2番にはある程度走れる選手が欲しいわよね。ま、ソトや筒香じゃ得点圏にランナーいても打てないけど!」
「またそこ!?」
とにかく、繋がる攻撃を。
凡打にしても意味のある打撃を。
前半戦以上に、泥臭い点が必要になるはずなのだから。
「夏だからね、打ちまくれ!」
奮起しろ、打線よ!