「27日の巨人戦は、なんと櫻井が先発よ!」
予告先発を見て、結乃がちょっと興奮したように言う。
「高卒二年目、楽しみな左腕だね」
理衣もにこにこしながら言う。
「2位を確定させたからこそできる、この起用ね」
「もちろん勝ちたいけれど、気分は楽だよね」
「でも、若手には重要なアピールの場、がむしゃらに勝つ気でいくのよ!」
「先発だと、打撃も楽しみだよね!」
高校時代には打撃も良く、打者としての評価も高かった。
今シーズンは初ヒットを早くも放っている。
「他にも中川虎とか上げるみたいだし、気張りなさいよ!」
「失うものはないし、好投すれば一気に、ね!」
「何せ、先発ローテが崩壊していたくらいだからね!」
「威張って言うことじゃないね」
「野手では細川4番で、伊藤ゆとか山本とか出すみたいね」
「これも楽しみだねー」
「まー、点の取れなさそうな打線になりそうだけど、今の打線でも点が取れないのは同じだし、良いでしょう」
「・・・・ん? よくないよね!?」
これで若手中心打線の方がよほど繋がり、得点してくれたらそれはそれで面白いのだが。
「でも、相手の巨人は阿部の引退試合なのよね」
「よく打たれたよねー」
「捕手であれだけ打たれるのはきついわよね」
「そんな阿部選手の引退試合じゃあ、やりづらいよね」
「関係ないわ、真剣勝負なんだから!」
そう、阿部が捕手をやるなら、どんどん走ろう。
今の阿部がどれくらい投げられるのか分からないが。
「でも、それ以上に問題は・・・・」
「え、何かあるの?」
真剣な面持ちで腕組みをして唸る結乃を見て、理衣が心配そうに問いかける。
「・・・・阿部に花束を渡すにふさわしい選手がベイスターズにいないことよ!」
「それ!?」
「いや重要でしょ、相手に相応な選手がやらないと。普通は最も実績のあるベテランだけど・・・・」
「筒香選手は・・・・あ、抹消中だ」
「そういうことよ。というわけで、異例だけど、ロペスにお願いするしかないってわけよ!」
「確かに実績のあるベテランで、元同僚! 文句なし!」
外国人選手であるけれど、ロペスなら横浜ファンも巨人ファンも文句、ないですよね?